これから仕事探しを始める方で「就職活動はどこから始めればいいのか?」という疑問を持ったことはありませんか?日本全国にあるハローワーク(公共職業安定所)は、求職者と企業を結びつけ、就職や転職をサポートする雇用サービスの公的機関です。ハローワークで利用できるサービス・取り扱い業務は主に以下の5つ。
求人紹介や職業訓練、キャリアカウンセリングなど、さまざまなサービスを無料で提供しています。ハローワークが提供するサービスは、求職者(労働者)に対して行うものと、求人者(企業)に対して行うものの2種類に分けることが可能で、整理すると以下のとおり。
- 職業相談・職業紹介
- 職業訓練校のあっせん
- 雇用保険の各種給付手続き
- 求人の受理・掲載
- 求人充足のアドバイス
- 各種助成金の申請受理・制度説明
この記事では、ハローワークで利用できるサービス・取り扱い業務、ハローワークで出来ることについて、以下の3点から解説します。
- ハローワークとは
- ハローワークの利用方法
- ハローワークが行っている業務
ぜひ最後までご覧ください。
ハローワークとは
ハローワークとは、全国に500カ所以上設置・運営されている、厚生労働省が管轄する公的な雇用サービス機関です。求職者(労働者)と求人者(企業)に対して、無料でサービスを提供しています。
- 職業相談・職業紹介
- 職業訓練校のあっせん
- 雇用保険の各種給付手続き
- 求人の受理・掲載
- 求人充足のアドバイス
- 各種助成金の申請受理・制度説明
ハローワークに料金がかかるサービスはありません。
求人検索や職業相談など、ぜひ利用してみてください。
※交通費は自腹です
ハローワークの利用時間
ハローワークの利用時間は、平日8時30分~17時15分です。一部ハローワークでは、土曜日の休日開庁や平日19時までの夜間延長開庁を行っています。
また、ハローワークプラザやマザーズハローワーク、わかものハローワークなどの職業紹介に特化したハローワークでは、通常の開庁時間と異なる場合があります。(例 10時~19時 など)
開庁時間延長を行っているハローワークや通常の開庁時間と異なるハローワークについては、サービス提供時間延長実施施設(令和6年10月1日現在)で確認してください。
ハローワークの求職サービスの利用方法
ハローワークの求職サービスの利用方法は以下の2ステップです。
- 求職登録を行う
- サービスを利用する
- 窓口で相談する
- 求人を検索する
- 応募を希望する企業の紹介状を発行してもらう
- 職業訓練のあっせんを受ける
求職登録時に本人確認書類などは不要で、窓口に行けば即日登録可能です。登録当日から各種サービスの利用が可能で、登録したその日に求人に応募することも出来ます。
求職登録の方法については、以下の記事を参考にしてください↓
ハローワークで利用できるサービス・取り扱い業務
ハローワークで利用できるサービス・取り扱い業務は、主に以下の5つが挙げられます。
職業相談・職業紹介
ハローワークでは、求職者の方に職業相談・職業紹介のサービスを提供しています。職業相談窓口では仕事探しについての様々な相談が可能で、具体的には以下のような相談が出来ます。
- 仕事探しの方向性について
- 求人の検索方法
- 応募書類の作成方法・添削
- 面接対策
職業相談窓口の利用には求職登録が必要です。
求職登録・職業相談窓口の利用はどちらも無料なので、気軽に利用してみてください。
なお、ハローワークでの相談内容・登録状況については、本人の希望無しに第三者に開示することは絶対にありません。相談した内容が転職先にもれることはありませんし、家族・友人・知人にバレることもありませんので、安心してご利用ください。
ハローワークの職業相談窓口で出来ること
ハローワークの職業相談窓口では、仕事探しの方向性の確認、応募書類の作成指導・添削、面接対策についての相談が出来ます。特に、仕事探しを進めていくうえで、方向性の確認は最重要事項です。何を重視して仕事を探すのか、転職の目的を明確に設定して方向性を定める必要があります。
方向性を定めずに仕事探しを始めると、必ずと言っていいほど以下の問題にぶち当たります。
- たくさんの求人に目移りして決められない
- 求人の粗ばかり見えて就職したい会社が無くなる
- 志望動機が思いつかない
- 就職出来ても、何となくやりたかったことではない気がして早期に離職してしまう
仕事探しの方向性の確認は、適切なツッコミを入れる役が必要です。ハローワーク窓口の相談員は「企業での人事・労務の経験がある」「キャリアコンサルタントの資格を所有している」など一定のレベルが担保されており、仕事探しの方向性についての相談が可能です。
これから仕事探しを始める方は、ぜひハローワークの窓口で仕事探しの方向性を確認してみてください。
他にも、求人の検索方法や選考にあたっての応募書類の作成指導・添削、面接対策なども行っています。これらの仕事探しについての相談は、ハローワークの求人に応募する・しないに関わらず全て無料で受けられます。
ハローワーク窓口のオススメの利用方法、どんな相談が可能なのかについては、以下の記事を参考にしてください↓
ハローワークの職業相談窓口で出来ないこと
仕事探しに関することであればほとんど相談可能ですが、以下の内容については窓口で相談出来ません。
- 就職後の労働紛争
- セクハラ・パワハラなどのハラスメント相談
- ハローワーク以外の求人サイトの詳細な検索方法
上記の相談について、一般的な回答であれば可能ですが個別具体的な回答が出来ません。
個別の相談は、それぞれ以下の窓口で行いましょう。
- 就職後の労働紛争
- ⇒ 各都道府県労働局の総合労働相談コーナー
- ⇒ 労働基準法に違反する内容であれば、企業の所在地を管轄している労働基準監督署
- セクハラ・パワハラなどのハラスメント相談 ⇒ 各都道府県労働局の総合労働相談コーナー
- ハローワーク以外の求人サイトの詳細な検索方法 ⇒ 各求人サイトのFAQなど
何を相談していいか分からない方へ
ハローワークの窓口で相談業務を行っていると、「退職を考えているので一度相談に来てみたけど、何を相談したらいいの?」という質問をよくいただきます。これについての回答は、「ご自身の現在の状況を教えていただければ大丈夫」です。
何も困っていない状態でハローワーク窓口に来所される方は少ないです。いざ転職するにあたって、自身では気づいていなくても、何をしていいのか分からなかったり、本当に転職できるのか不安を抱えている方がたくさんいます。
何を相談していいのか分からない方は、まずは自身の状況を話してみてください。
- 半年後に子供が産まれるが、収入が足りないのではないかと感じている
- 新卒から同じ会社にずっと勤めているが、違う仕事をしてみたい気持ちになっている
- パート・アルバイトで働いてきたが、周りから30歳までに正社員になった方がいいと言われる
- やりたいことが見つからず今の仕事をしているが、このままでいいのか不安がある
こういった相談から、悩みの根本・転職成功への課題・今後のキャリア形成などについて、相談者の方の考えを整理するお手伝いをします。
何を相談していいか分からない方は、とりあえず自身の状況を話してみてください。
なお、多くの窓口では一回の相談時間に上限を設けています(1回あたり30分など)。無限に相談できるわけではありませんので、ある程度自身の状況を整理してから利用することをオススメします。
雇用保険の加入・給付金の受給手続き
ハローワークでは、雇用保険の加入手続きや、雇用保険の各種給付金の支給手続きを行っています。具体的には以下の手続きです。
- 雇用保険への加入(資格取得)・資格の喪失
- 失業等給付金の支給
- 雇用継続給付金の支給
- 教育訓練給付金の支給
雇用保険の各種手続きは、企業が行うものと労働者が行うものの2種類あります。一般的に、雇用保険の加入・喪失手続きや雇用保険料の支払い、雇用継続給付金の申請は企業が行い、失業等給付金や教育訓練給付金の申請は労働者が手続きを行います。
雇用保険は、以下の2つ条件に当てはまる方が加入対象になります。
- 週20時間以上の雇用契約
- 31日以上継続して雇用される見込みがある
加入対象になった方は、毎月の給料から雇用保険料が差し引かれます。雇用保険に加入している方が、会社を退職後し失業状態になったときは、失業等給付金の申請が可能になり、スキルアップのための勉強や資格取得の講座を受講したときは、教育訓練給付金の申請が可能になります。
また、育児や介護を理由に長期間仕事を休む場合は、雇用継続給付金を申請することが出来ます。他にも、労働者のスキルアップや雇用安定に協力的な企業に対して、雇用保険から各種助成金が支給されます。
雇用保険は、失業などのアクシデントや雇用促進に対して、労働者・企業の全員で備える保険です。退職の予定がある、資格取得を考えている方は、窓口で相談してみてください。
雇用保険の加入対象者の範囲とは、雇用保険にはどんな給付制度があるのかなど、雇用保険制度についての詳細は以下の記事を参考にしてください↓
職業訓練の受講あっせん
ハローワークでは、公共職業訓練や求職者支援訓練などの、職業訓練の受講あっせんを行っています。職業訓練のあっせんを受けるためには前出の求職登録が必要です。職業訓練の受講を希望する方は、求職登録を行ったうえで窓口で職業訓練校についての説明を聞き、希望する職業訓練を伝えましょう。
※ 厳密には、ハローワークが行うのは職業訓練の受講指示や受講推薦ですが、この記事では便宜的に受講あっせんと呼びます。
職業訓練とは、求職者が再就職に必要なスキルや知識を学ぶための制度です。事務職に必要なパソコンスキルや簿記、WEB開発職に必要なプログラミングなどが無料で学べます(テキスト代は自己負担)。学べる内容は幅広く、様々な分野が対象です。
- 簿記・会計
- 介護・医療
- WEB開発・WEBデザイン
- 営業・販売
- 美容
未経験職種への転職を考えている方や、スキルアップして給与を上げたい方はぜひ利用してみてください。
参考 厚生労働省 ハロートレーニング https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/hellotraining_top.html
職業訓練受講中は、失業等給付金や職業訓練受講給付金などの、各種給付金を受け取ることが出来る可能性があります。失業等給付金であれば、退職前6ヶ月間の給与平均の50~80%、職業訓練受講給付金であれば月額10万円です。自宅から学校までの交通費も支給され(上限42,500円)、それぞれ受給には条件がありますが、対象になる方は生計を維持しながら職業訓練を受講することが出来ます。
訓練受講中にアルバイトをすることも可能です。ただし、働く時間数によっては、給付金の金額が減額されたり、給付金の支給が取り消されることもあります。
訓練受講中のアルバイトを考えている方は、事前にハローワークの窓口で確認しておきましょう。
職業訓練の受講を検討する方は、以下の2点に注意してください。
- 受講修了までに最低2ヶ月以上かかる
- 平日は毎日朝~夕で学校がある
職業訓練校は、小・中学校と同じく平日の毎日朝~夕に学校に通うことになり、それが最低2ヶ月以上は続きます。「学校」というものが苦手な方は、職業訓練の受講を苦痛に感じる可能性があります。
途中退校も可能ですが、自己都合での途中退校は、以降一定期間職業訓練を受講することが出来なくなります。受講を検討している方は、一度、受講前にしっかりと考えてみてください。
求人の受理・公開
ハローワークでは、事業主から提出された求人の受理を行っています。受理した求人は、ハローワークインターネットサービスなどで広く一般に公開され、誰でも閲覧することが可能です。
※ ただし、一部求人は事業主の意向により公開を制限している場合もあります。
ハローワークでは、求人を掲載している事業主に対して、求人内容の相談に乗ったり、休日数の増加や給与の上昇などの求人条件緩和のアドバイスも行っています。また、求人票でのアピールが不十分な事業所については、書き方のアドバイスも行っています。
これらのサービスは全て無料です。
まだ手元に大きな資金が無い中小企業の方や、人材採用で困っている事業主の方はぜひハローワークを利用してみてください。
ハローワークへ求人を提出するメリットとしては、以下の2点があげられます。
- 無料で求人掲載が可能
- 全国的に広く展開している
一般的に、民間の求人サイトに求人を掲載する場合は、数万円~数十万円程度の費用が必要です。さらに、求人サイト経由で採用が決まると、追加報酬を支払う必要があることもあります。
一方、ハローワークは求人受理・掲載ともに無料で、採用が決まった場合も追加の費用は発生しません。
利用者層に一定の偏りがあるため、希望の人材を見つけられない可能性もありますが、選択肢の一つとして検討してみてください。
ハローワークは全国500カ所以上にあり、一般的に広く認知されています。都市部に比べて求職者数が少ない地方では、いかにたくさんの求職者に求人を認知してもらうかが大切です。ハローワークの利用者は全国に広く点在しており、地域に根差した雇用マッチングサービスを行っているため、ハローワークは地方の人材獲得に強みがあります。
大企業の支社担当・地方で事業を行っているなど、地方での人材採用を考えている方もぜひハローワークの利用を検討してみてください。
障害者・高齢者・外国人の方の雇用管理
ハローワークでは、障害者・高齢者・外国人の方の雇用管理を行っています。企業は障害者・高齢者・外国人の雇用者数を、ハローワークに報告・届出する義務があります。高齢者・外国人の方については、報告・届出のあった雇用者情報を政策立案や雇用対策の参考にします。障害者の方については、一定規模以上の企業に対して雇用者数の基準が設定されており、その基準を達成しているか、状況確認のために報告をしてもらっています。
他にも、相当数の離職者が発生する場合に、企業は「大量雇用変動届」などをハローワークに提出する必要があります。働いている方にはあまりなじみがないかもしれませんが、ハローワークはこういった地域の雇用情勢・労働市場の調査にも取り組んでいます。
全国各地のハローワークで収集した労働市場のデータを、政策立案に活用しています。
ハローワークは労働市場のアンテナの役割を担っているのです。
まとめ(締め)
以上、ハローワークの取り扱う業務、ハローワークで出来ることについて、以下の3点から解説しました。
- ハローワークとは
- ハローワークの利用方法
- ハローワークが行っている業務
まとめると以下のとおり。
ハローワークは国が運営する雇用サービス提供機関であり、主に以下の5つのサービスの提供・業務に取り組んでいます。
ハローワークの提供するサービスは全て無料です。利用時間は平日の8時30分~17時15分で、職業相談の利用であれば必要な持ち物はありません(服装も自由です) 。職業相談窓口では広く仕事探しの相談が可能なので、これから仕事探しを始める方はぜひ利用してみてください。
雇用保険は一定の条件を満たす場合に加入対象になり、加入者が退職・スキルアップ・育児での長期休業など雇用状況に変動があった場合、各種給付金の受給が可能になります。
職業訓練では、様々な分野のスキル・資格の勉強が無料で出来ます(テキスト代は自己負担)。未経験分野への転職を考えている方は、ぜひ利用を検討してみてください。
ハローワークでは求人の受理・公開を行っています。高い認知度と全国広域の利用者層から、地方での人材獲得に強みがあります。地方での採用を考えている企業の採用担当の方は、利用を検討してみてください。
ハローワークでは障害者・高齢者・外国人材の雇用管理・情報収集を行っており、収集した情報を元に国が雇用施策の立案・運営を行っています。サービスを提供するだけではなく、雇用施策のアンテナの役割も担っています。
ハローワークは、皆様が考えるよりも身近で利用しやすい施設です。(少なくとも私は働いていてそう感じました。)仕事探し・人材採用について困りごとがあれば、気軽に窓口で相談してみてください。
実りある転職になるよう祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。
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