失業保険受給中にアルバイトをする場合、1日に働く時間が4時間以上か4時間未満かで受給できる金額が変わり、4時間以上働いた場合、働いた日の1日分が後ろ回しになります。
この記事では、失業保険受給中の1日4時間以上のアルバイトについて、以下の3点から解説します。
- 失業保険受給中に1日4時間以上働くとどうなるか
- 失業保険受給中に働く場合の注意点
- 4時間以上と4時間未満のどちらが得か
ぜひ最後までご覧ください。
参考にしている雇用保険業務取扱要領は、以下のURLで確認できます↓
厚生労働省 雇用保険に関する業務取扱要領(令和5年8月1日以降) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
失業保険受給中に1日4時間以上働くとどうなるか
失業保険受給中に1日4時間以上働いた場合、働いた日の1日分が後ろ回しになります。
失業保険を受給するためには、失業状態である必要があります。
※ 失業状態とは、「自営業や週20時間以上の仕事をしておらず、週20時間以上の仕事を探しており、自分にあった仕事が見つかれば働ける状態」です
1日4時間以上働いたとき、その1日は就職状態にあったとみなされて、その1日分については失業認定が行われません。(失業保険が支払われません)
この認定が行われなかった1日分については、「支払われた」ことにせず、支払われなかった1日分は後ろに繰り越していくことになります。
参考 雇用保険業務取扱要領51255(5)
なお、参考までに、失業保険の手持ち日数(所定給付日数)は、以下の3つ以外で減ることはありません。
- 支払われる
- 有効期限が切れる
- 不正受給で執行停止処分になる
失業保険受給中に働く場合の注意点
失業保険受給中に働くときは何点か注意すべきことがあります。
この注意すべきことを見逃すと、失業保険がもらえなくなったり、不正受給として処分されてしまいます。
失業保険受給中に働く場合の注意点は以下の3点。
- 毎回の認定日ごとに申告が必要
- 週20時間以上働くと就職扱いになる
- 1日あたりの働く時間が4時間以上か4時間未満かで扱いが変わる
失業保険受給中のアルバイトについては以下の記事も参考にしてください↓
毎回の認定日ごとに申告が必要
失業保険受給中に働く場合、毎回の認定日ごとに働いていることの申告が必要になります。
この申告をしないと、不正受給として処分されてしまいます。
参考 雇用保険業務取扱要領51255(5)
どうやって申告するの?窓口で、働いてます!って言えばいいの?
「失業認定申告書」の「1欄」に記入して、窓口に提出することで申告します。
週20時間以上働くと就職扱いになる
週20時間以上働くと就職扱いになり、働いている期間は失業保険が受給出来なくなります。
参考 雇用保険業務取扱要領51255(5)イ
アルバイトやパートでの就労でも、週20時間以上働けば就職扱いになり、失業保険が受給出来なくなります。
ただし、急な休みの代打などでたまたまシフトが多くなっただけであれば、就職扱いにならない場合もあります。
恒常的な場合は就職扱い、突発的な場合は就職扱いにならない。ということです。
該当する方は、管轄のハローワークに相談してみましょう。
1日当たりの働く時間が4時間以上か4時間未満かで扱いが変わる
1日当たりの働く時間によって、失業保険の取り扱いが変わります。
具体的には以下のとおりです。
- 4時間以上 ⇒ 働いた1日分は後ろ回し
- 4時間未満 ⇒ 収入金額によって失業保険を減額支給
参考 雇用保険法第19条 雇用保険業務取扱要領51255(5)・51651-51700
1日4時間以上働いた場合についての取扱いは、前出のとおりです。
1日4時間未満で働いた場合、1日当たりの収入金額によって失業保険の受給金額が減額されます。
詳細は以下の記事を参考にしてください↓
1日4時間以上or4時間未満 どっちで働くのが得か
結局、4時間以上と4時間未満はどっちで働くのが得なの?
受給状況やアルバイトの内容によって変わります。判断のポイントは以下の3つです。
- 何時間働けるのか
- 所定給付日数は何日あるのか
- アルバイトの時給が高いか
前出のとおり、失業保険受給中にアルバイトをすると、失業保険の金額に調整が入り、4時間以上か4時間未満かで取り扱いが違います。
取り扱いに違いがあると、得な働き方はどちらか?と考えてしまうこともあると思いますが、全員この働き方をするべき!という理想の働き方はありません。
ただし、受給状況によっては「こっちの働き方の方がいいかも。」ということがあります。
以下で、考え方と4時間以上働くことをオススメする方をお伝えします。
- 最大何時間働けるのか = 働く時間が少ないと効率が悪い
- 所定給付日数は何日あるのか = 多いと有効期限内にもらいきれないことがある
- アルバイトの時給は高いか = 収入金額によって調整金額が変わる
※ 以下の解説は、あくまで「失業保険受給中にアルバイトをするのであれば」を前提にしたものです。失業保険受給中のアルバイトを促進しているわけではありません。
考え方のポイント
4時間以上か4時間未満かを考えるときのポイントは、以下の3つです。
- 最大何時間働けるのか = 働く時間が少ないと効率が悪い
- 所定給付日数は何日あるのか = 多いと有効期限内にもらいきれないことがある
- アルバイトの時給は高いか = 収入金額によって調整金額が変わる
なお、ここでの考え方の軸として、理想のゴールを以下に設定しています。
最大何時間働けるか
最大働ける時間が少ないと、失業保険をもらっていく効率が悪くなります。
失業保険受給中に1日4時間以上働く場合は、働く時間が5時間だろうと8時間だろうと同じ扱いになります。(後ろ回しにされる)
- 1日8時間働く ⇒ 2日で16時間(失業保険は2日分後ろ回し)
- 1日5時間働く ⇒ 3日で15時間(失業保険は3日分後ろ回し)
働ける時間が短いと、同じ金額を稼ぐまでに後ろ回しにされる日数が多くなってしまいます。
後ろ回しにされる日数が多くなると、失業保険をもらう期間が長くなり、早期再就職への意欲が減少する傾向にあります。
最大何時間働ける職場なのか、契約時に確認しておきましょう。
所定給付日数は何日あるのか
1日4時間以上働いた場合、働いた1日分の失業保険は後ろ回しになりますが、後ろ回しにも限界があります。
それが受給期限です。
受給期限は、離職日の翌日から起算して1年後です。
参考 雇用保険法第20条
例 受給期限はいつになるか
令和5年12月31日退職のとき ⇒ 令和6年12月31日
退職の翌日から起算します。「失業保険の申請をしてから」ではないので注意。
失業保険を後ろに回しすぎると、この受給期限からはみ出てしまい、後ろに回した分がもらえなくなることがあります。
所定給付日数が多いと、このパターンになる確率が高いです。
自身の所定給付日数が何日なのか、しっかり確認してください。
アルバイトの時給は高いか
前出のとおり、1日4時間未満で働いた場合、1日あたりの収入金額によって失業保険の金額が調整されます。
このときの1日あたりの収入金額が高い場合、4時間未満しか働いていなくても、4時間以上働いた場合と同じ処理(後ろ回し)になることがあります。
参考 雇用保険業務取扱要領51653(3)
今後の計画を立てるにあたり、時給額はしっかり把握しておいてください。
4時間以上で働くのをオススメ
これまでの考え方を参考に、4時間以上で働くことをオススメする方は以下のとおりになります。
長時間(6~8時間)働ける
アルバイト先で長時間(1日6~8時間)働ける場合は、4時間以上の就労をオススメします。
4時間以上働く場合は、出来るだけ長時間働いた方が認定日単位で考えたときの総額(失業保険額+アルバイト代)が多くなるからです。
例
- 基本手当日額 5,000円
- 認定期間 令和6年1月1日~28日(28日間)
- アルバイトの時給 1,000円
- 働く日数 8日間
1日4時間働くとき
- 失業保険 (28日-8日)×5,000円 = 100,000円
- アルバイト代 4時間×8日×1,000円 = 32,000円
⇒ 総額 100,000+32,000=132,000円
1日8時間働くとき
- 失業保険 (28日-8日)×5,000円 = 100,000円
- アルバイト代 8時間×8日×1,000円 = 64,000円
⇒総額 100,000円+64,000円=164,000円
どうせ4時間以上働くなら、長い時間働く方が効率はいいです。
ただし、週20時間以上働くと就職扱いになるので注意してください。
時給が高い
時給が高い場合は、4時間以上の就労をオススメします。
時給が高いと、4時間未満で働いても4時間以上働く場合と同じ扱いになる可能性があるからです。
4時間未満で働く場合は、1日当たりの収入金額によって失業保険の受給金額が調整されます。
この1日の収入金額が6,000円を超えてくると、4時間未満で働いても、働いた1日分が後ろ回しになる可能性が高くなります。(4時間以上働くときと同じになる)
4時間未満で働いても4時間以上働いた場合と同じ扱いになるのであれば、4時間以上働いた方が効率はいいよね。ということです。
給付制限期間中の方
給付制限期間中は、4時間以上の就労をオススメします。
給付制限期間中はどれだけ働いても失業保険の受給金額に影響しないからです。
給付制限期間とは、前職を自己都合や懲戒解雇などで退職した方が、失業保険の申請後、一定期間受給対象にならない期間を言います。
この期間中は、どれだけ働いても失業保険の受給金額が変わりません。(そもそも給付制限期間中は失業保険がもらえません)
働いても働かなくても失業保険はもらえませんので、それなら働いた方が効率はいいよね。
ということです。
給付制限期間中の就労について、詳細は以下の記事を参考にしてください↓
まとめ(締め)
以上、失業保険受給中の1日4時間以上のアルバイトについて解説しました。
まとめると以下のとおり。
失業保険受給中に1日4時間以上働いた場合、働いた日の1日分が後ろ回しになります。
失業保険受給中に働く場合の注意点は以下のとおり。
- 毎回の認定日ごとに申告が必要
- 週20時間以上働くと就職扱いになる
- 1日あたりの働く時間が4時間以上か4時間未満かで扱いが変わる
4時間以上で働くのがいいのか、4時間未満がいいのか。
考え方のポイントは以下のとおり。
- 最大何時間働けるのか = 働く時間が少ないと効率が悪い
- 所定給付日数は何日あるのか = 多いと有効期限内にもらいきれないことがある
- アルバイトの時給は高いか = 収入金額によって調整金額が変わる
これらを踏まえたうえで、4時間以上で働くのをオススメするのは以下に当てはまる方。
失業保険は、生活の心配をすることなく就職活動に専念できるよう支給される保険です。
アルバイトにのめり込み過ぎて、就職活動がおろそかにならないようご注意を。
実りある転職になるよう祈っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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