就職活動を進めていくと、自宅周辺地域に希望の仕事が無いので、遠方の会社に応募する。という場面が出てくると思います。昨今ではWEB面接も増えてきましたが、最終面接など採用の重要な場面では、いまだに対面での面接が主流です。このときに負担になるのが、交通費と宿泊費。特に地方にお住まいの方であれば、一度東京に出てくるだけで往復3~5万円かかることもあり、重く家計にのしかかります。
もし、現在雇用保険を受給中で、ハローワークから紹介を受けた遠方の事業所の求人に応募すると、雇用保険から広域求職活動費という名目で交通費と宿泊費が支給される可能性があります。広域求職活動費の対象になる条件は以下のとおり。
広域求職活動費としては、交通費と宿泊費の2種類の名目が支給されます。それぞれ計算式し、合算したものが支給金額です。
広域求職活動の申請は、以下の6つのステップで行います。また、申請に必要な書類は以下の4つ(飛行機を利用する場合は5つ)です。
- 雇用保険受給資格者証
- 求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書
- 広域求職活動指示書
- 広域求職活動面接等訪問証明書
- (飛行機で行ったとき)領収書
この記事では、雇用保険受給者が、遠方に面接に行った場合にもらえる広域求職活動費について、以下の3点から解説します。
- 失業保険受給中に面接に行く交通費が出るのか
- 広域求職活動費の対象になる条件・金額の計算方法・申請方法
- 広域求職活動費のよくある質問
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
失業保険受給中に遠方へ面接に行くと交通費が出る
失業保険受給中に遠方の事業所へ面接に行くと、ハローワークから交通費・宿泊費が支給される可能性があります。それが広域求職活動費です。広域求職活動費は、就職促進給付という雇用保険の給付制度の1つで、雇用保険法に則って支給されます。(雇用保険法第59条第1項第1号)広域求職活動費は、地域間の就職機会の差を少なくすることを目的とした制度です。
東京に住んでいるAさんと地方に住んでいるBさんとでは、応募できる仕事の数が違うため、就職の機会が平等になりません。
これを是正するために、交通費等を雇用保険から支給しましょう。という制度です。
広域求職活動費の対象になる条件
広域求職活動費は、雇用保険受給資格者が、以下の条件に全て当てはまる場合に対象になります。
待期期間満了後に面接等を受ける
広域求職活動費の対象になるには、面接等を受けるのが待期期間満了後である必要があります。待期期間とは、失業保険申請後に確認が必要になる、最初の7日間の失業期間です。失業保険の各種給付制度は、この待期期間経過後でなければ給付の対象になりません。広域求職活動費も同じく、待期期間経過前に受ける面接等は給付の対象になりませんので注意してください。
参考 雇用保険業務取扱要領57752(2)
失業保険を申請してすぐの期間は、不正受給防止の観点から支給対象になりません。
面接等の開始日は注意しましょう。
なお、面接等の開始日が待期期間経過後であれば、求人の紹介を受けるのは待期期間中でもOKです。
参考 雇用保険業務取扱要領57751(1)
ちなみに、職業紹介の拒否・職業訓練のあっせん拒否によって、法第32条の給付制限がかかっている場合は、その給付制限終了後でないと広域求職活動費の対象になりません。ここでの給付制限は、自己都合・懲戒解雇で退職した場合に該当する給付制限とは別物です。
紹介拒否の給付制限は、該当する方はほとんどいません。
10年近くハローワークで働いてきて、対象になった方を1度も見たことがありません。
気にしなくて大丈夫です。
ハローワークから紹介を受けた求人である
広域求職活動費の対象になるには、ハローワークから紹介を受けた求人である必要があります。「ハローワークから紹介を受けた求人」とは、ハローワークが受理・掲載している求人で、窓口で紹介状の発行を受けた求人のことを言います。ハローワークに掲載していない求人や、掲載はしているが紹介状の発行を受けずに自分で応募した場合は、「ハローワークの紹介を受けた求人」とはみなされません。
最近では、民間求人媒体がハローワーク求人を掲載している場合があります。
ハローワークを通さず、その求人媒体から応募する場合は、ハローワーク紹介に該当しませんので、注意してください。
ハローワークから紹介を受け、紹介状を発行してもらう手続きの流れは、以下のとおりです。
- ハローワーク求人を持って窓口に行く
- 窓口で紹介してほしいと伝える
- 紹介状が発行される
簡単にまとめると、「紹介希望の求人を持って窓口に行きましょう。」です。
わざわざ行くのは手間だと思いますが、ハローワーク紹介に該当するために、とりあえず窓口に行きましょう。
なお、ハローワークが紹介を行うのは、ハローワークで受理・掲載している求人のみです。民間求人媒体に掲載されている求人は紹介出来ませんので、ご注意ください。
ハローワークに行かずに応募する、自主応募とハローワーク紹介の違いについては、以下の記事を参考にしてください↓
事業所までの距離が片道100km以上離れている
広域求職活動費の対象になるには、面接等を行う事業所までの距離が、片道100km以上離れている必要があります。「事業所までの距離」は、自身が雇用保険を受給しているハローワークから、事業所所在地の管轄ハローワークまでの距離で計算されます。
自宅から面接に行く事業所までの距離ではありません。
注意してください。
例えば、ハローワーク梅田で雇用保険を受給しているAさんが、東京都新宿区にある株式会社B社へ面接に行った場合は、ハローワーク梅田(雇用保険受給所)からハローワーク新宿(事業所所在地の管轄ハローワーク)までの距離で計算されます。このハローワーク間の距離が、往復200km以上ある場合に対象になります。このときの距離は直線距離では無く、グーグルマップなどで調べた、徒歩+交通機関の移動距離で計算されます。
特別な経路検索は行わず、素直に調べた結果をもとに計算します。
ただし、距離の算定においては特殊な計算式が用いられ、船と徒歩の区間は4倍の距離にして計算します。(端数切捨て)
例
ハローワーク梅田で雇用保険を受給しているAさんが、新宿区にあるB社に面接に行く。
- 計算する距離 ハローワーク梅田からハローワーク新宿までの距離
- 経路
- ハローワーク梅田⇒大阪駅 徒歩 400m
- 大阪駅⇒新宿駅 電車 566.7km
- 新宿駅⇒ハローワーク新宿 徒歩 450m
- 計算式 ((0.4km+0.45km)×4)+566.7=569.7km
この場合、ハローワーク間の距離は200km以上なので、広域求職活動費の対象になります。
片道100km以上の目安は、以下のとおりです。
- ハローワーク三島(静岡)118km 〇
- ハローワーク宇都宮(栃木)120km 〇
- ハローワーク栃木(栃木)95km ×
- ハローワーク館山(千葉)123km 〇
- ハローワーク龍野(兵庫)123km 〇
- ハローワーク姫路(兵庫)99km ×
- ハローワーク湯浅(和歌山)115km 〇
- ハローワーク彦根(滋賀)123km 〇
- ハローワーク浜松(静岡)113km 〇
- ハローワーク敦賀(福井)130km 〇
- ハローワーク彦根(滋賀)92km ×
- ハローワーク飯田(長野)131km 〇
- ハローワーク佐世保(長崎)126km 〇
- ハローワーク玉名(熊本)103km 〇
- ハローワーク日田(大分)89km ×
- ハローワーク中津(大分)125km 〇
大体、県を1~2つまたぐ程度の距離です。
北海道など大きな都道府県であれば、県内で100kmを超えることもあります。
事業所から交通費・宿泊費が出ない
広域求職活動費の対象になるのは、事業所から交通費・宿泊費が出ない場合のみです。事業所によっては、面接に来る求職者に対して交通費・宿泊費を支給することがあり、その場合はハローワークからの支給はありません。ただし、事業所から支給される交通費・宿泊費が、広域求職活動費がもらえた場合の金額よりも少ない場合は、差額をハローワークから広域求職活動費として支給してもらうことが出来ます。
広域求職活動費が2万円、事業所からもらえる金額が1万円なら、差額の1万円が広域求職活動費としてもらえます。
実際に広域求職活動費がいくらになるのかは、ハローワークに聞かないと分からないので、事業所からお金がもらえる場合でも、一度は窓口で話を聞いてみましょう。
広域求職活動費の金額の計算方法
広域求職活動費の金額の内訳は、ざっくり分けると以下の2種類です。
- 移動費・交通費
- 宿泊費
移動費・交通費、宿泊費をそれぞれ計算し、合算した金額が広域求職活動費として支給されます。移動費・交通費は、ハローワーク側で調べた経路の費用分を支給、宿泊費は、移動距離と面接等を受ける事業所の数によって計算して支給されます。広域求職活動費の金額の計算式は以下のとおり。
移動費・交通費
移動費・交通費は、具体的に以下の5つに分けて計算されます。
- 鉄道賃
- 船賃
- 航空賃
- 車賃
ちなみに、計算方法は移転費の場合と同じです。
鉄道賃
移動に当たって、電車を利用する場合の電車賃です。鉄道賃は、普通乗車料金で計算されます。距離・路線によっては、普通急行・特別急行料金を加算することが可能です。
- 50㎞以上 普通急行料金加算可能
- 100㎞以上 特別急行料金加算可能
普通急行料金とは、「成田エクスプレス」や「踊り子」「あずさ」などの、特急列車に乗車する際に加算される料金です。特別急行料金とは、新幹線に乗車する際に加算される料金です。
要は、移転先が遠いときは新幹線・特急列車の料金分も支払いますよ。ということです。
船賃
移動に当たって、船を利用する場合の乗船代です。船賃は、2等運賃相当額で計算されます。船にあまり乗らない方は聞きなじみがないと思いますが、乗船代は2等運賃を基準料金として設定されています。
参考 国土交通省 「一般旅客定期航路事業の運賃及び料金の標準設定方式」 https://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/content/000093889.pdf
要は、乗船代は基準料金で計算しますよ。ということです。
グレードアップした分は支払われません。
ちなみに、電車の駅と駅の間に船を挟む路線の場合は、船賃は普通旅客運賃相当額で計算されます。このような路線を鉄道連絡路線と言い、鉄道連絡路線は、JR西日本の宮島口桟橋~宮島桟橋しか残っていないとのこと。(令和6年6月時点)
大多数の方は鉄道連絡路線を気にしなくてOKです。
船賃=乗船代で認識しておきましょう。
航空賃
移動に当たって、飛行機を利用する場合の航空券代です。航空券代は、実際にかかった金額が支払いの対象になります。ただし、以下の2点に注意してください。
他の交通手段と比較したうえで判断されるので、「飛行機での移動が快適だから」という理由だけでは通りません。
事前に支払い処理を行うハローワークで確認しておきましょう。
車賃
鉄道軌道がない区間は、全て車賃の対象になります。実際に車に乗ったかは問われません。計算方法は、1㎞につき37円で、距離の計算の端数は切り捨てられます。
例
鉄道軌道がない区間が合計15.6㎞であった。
車賃 ⇒ 15㎞(0.6㎞は切り捨てられます)×37円 = 555円
宿泊費
面接等に行く事業所が遠方の場合は、宿泊料の対象になります。宿泊料は「1泊あたりの金額」×「泊数」で計算され、実際に宿泊したかは考慮されません。
日帰りでも、条件を満たしていれば宿泊料の対象になります。
1泊あたりの金額は、事業所の所在地の管轄ハローワークの場所によって変わります。管轄ハローワークが以下の市にある場合は1泊8,700円で、それ以外の地域は1泊7,800円で計算されます。
- さいたま市(ハローワーク大宮・浦和)
- 管轄市町村:さいたま市、鴻巣市(旧吹上町、旧川里町をのぞく)、上尾市、桶川市、北本市、蓮田市、北足立郡伊奈町
- 千葉市(ハローワーク千葉・千葉南)
- 管轄市町村:千葉市、四街道市、八街市、山武市、山武郡横芝光町、市原市、東金市、大網白里市、九十九里町
- 東京都特別区(ハローワーク飯田橋・上野・品川・大森・渋谷・新宿・池袋・王子・足立・墨田・木場)
- 管轄市町村:東京都23区、大島町、八丈町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、青ヶ島村
- 横浜市(ハローワーク横浜・港北・戸塚・横浜南)
- 管轄市町村:横浜市(鶴見区以外)、横須賀市のうち(船越町、港が丘、田浦港町、田浦町、田浦大作町、田浦泉町、長浦町、箱崎町、鷹取、湘南鷹取、追浜本町、夏島町、浦郷町、追浜東町、追浜町、浜見台、追浜南町、逗子市、三浦郡(葉山町))
- 川崎市(ハローワーク川崎・川崎北)
- 管轄市町村:川崎市、横浜市鶴見区
- 相模原市(ハローワーク相模原)
- 管轄市町村:相模原市
- 名古屋市(ハローワーク名古屋中・名古屋南・名古屋東)
- 管轄市町村:名古屋市、北名古屋市、清須市、西春日井郡(豊山町)、豊明市、日進市、長久手市、愛知郡(東郷町)
- 京都市(ハローワーク京都西陣・京都七条・伏見)
- 管轄市町村:京都市、亀岡市、南丹市、船井郡、向日市、長岡京市、乙訓郡、八幡市
- 大阪市(ハローワーク大阪東・梅田・大阪西・阿倍野・淀川)
- 管轄市町村:大阪市、吹田市
- 堺市(ハローワーク堺)
- 管轄市町村:堺市
- 神戸市(ハローワーク神戸・灘・西神)
- 管轄市町村:神戸市(北区・西区の一部を除く)、三木市
- 管轄外エリア 神戸市西区(曙町、天が岡、伊川谷町有瀬、伊川谷町上脇、伊川谷町潤和、伊川谷町長坂、伊川谷町別府、池上、今寺、岩岡町、枝吉、王塚台、大沢、大津和、上新地、北別府、小山、白水、玉津町、天王山、中野、長畑町、福吉台、ニツ屋、丸塚、水谷、南別府、宮下、持子、森友、竜が岡、和井取)神戸市北区(有野台、有野町、有野中町、唐櫃六甲台、有馬町、淡河町、大沢町、鹿の子台北町、鹿の子台南町、唐櫃台、京地、道場町、長尾町、西山、八多町、東有野台、東大池、藤原台北町、藤原台中町、藤原台南町、赤松台、上津台、菖蒲が丘)
- 広島市(ハローワーク広島・可部・広島東)
- 管轄市町村:広島市(佐伯区の湯来町・杉並台を除く)、山県郡、安芸郡
- 福岡市(ハローワーク福岡中央・福岡東・福岡西)
- 管轄市町村:福岡市(南区は那の川1~2丁目のみ)、宗像市、古賀市、福津市、糟屋郡、糸島市
参考 国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第104号) 別表第1 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000114#Mpat_1
財務省 国家公務員等の旅費制度の改正(参考資料)https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20231027/06.pdf
ややこしいですが、太字の市町村区に事業所所在地があれば、1泊8,700円になります。
泊数は、距離と面接等を受ける事業所の数によって以下の表のとおり計算されます。
距離(鉄道キロ数) | 訪問事業所 2か所以下 | 訪問事業所 3か所以上 |
400km~ 800km未満 | 1泊 | 2泊 |
800km~ 1,200km未満 | 2泊 | 3泊 |
1,200km~ 1,600km未満 | 3泊 | 4泊 |
1,600km~ 2,000km未満 | 4泊 | 5泊 |
2,000km以上 | 5泊 | 6泊 |
例
ハローワーク梅田で雇用保険を受給しているAさんが、新宿区にあるB社に1社だけ面接に行く。
- ハローワーク梅田からハローワーク新宿までの距離 570.1km
- 距離が570.1km 訪問事業所の数は2カ所以下のため、支給される宿泊費は1泊分。
- 管轄ハローワークは東京都特別区にあるため、1泊は8,700円。
よって、8,700円が宿泊費として支給されます。
このとき、新宿区にある会社を3社回ると、2泊分の17,400円(8,700×2)が宿泊費として支給されます。
広域求職活動費の申請方法・必要書類
広域求職活動費の申請手続きの流れは、以下のステップになります。
なお、申請に当たっての必要書類は、以下の4つ(飛行機を利用する場合は5つ)です。
- 雇用保険受給資格者証
- 求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書
- 広域求職活動指示書
- 広域求職活動面接等訪問証明書
- (飛行機で行ったとき)領収書
必要書類の見本を以下に表示します。
求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書
広域求職活動指示書
広域求職活動面接等訪問証明書
遠方(片道100km以上)の求人へ応募する
まずは、遠方(片道100km以上)の求人へ応募します。前出のとおり、広域求職活動費はハローワーク紹介でないと対象になりませんので、必ず窓口で紹介状を発行してもらいましょう。
自身の応募する求人の事業所が片道100km以上離れているか分からないときは、窓口で確認しましょう。
ハローワーク窓口で必要書類をもらう
紹介状を発行後、雇用保険の窓口で必要書類をもらいましょう。窓口でもらう書類は以下の3つ。
- 求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書
- (もらわないこともある)広域求職活動指示書
- 広域求職活動面接等訪問証明書 ※重要
求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書は、申請時に必要事項を記入して窓口に提出します。もらった時点では記入は不要ですので、申請時まで大切に保管しておきましょう。
広域求職活動指示書は、紹介状を発行したハローワークが、「事業所名・所在地」「面接等を行う日時」を記載して求職者に渡します。この指示書の手交は省略が可能なため、もらわない場合もあります。いずれにせよ、ハローワークが求職者に渡す書類なので、もらえなくても今後の申請に影響はありません。
広域求職活動面接等訪問証明書は、一番重要な書類です。面接に行った事業所に証明をもらい、申請時にハローワークに提出する必要があります。この証明書に事業所の証明がないと、広域求職活動費の対象になりません。失くさないよう大切に保管してください。また、面接等を受ける際には事業所に持参し、必ず証明をもらってください。
求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書・広域求職活動指示書の2つは、無くても申請に影響ありません。
広域求職活動面接等訪問証明書だけは、失くすと申請が出来なくなってしまうので、大切に保管してください。
面接等を受ける
ハローワークで紹介を受けた事業所で、実際に面接等を受けます。なお、広域求職活動費の対象になる求職活動には、面接だけでなく事業所の見学なども該当しますが、事業所の見学の場合も、ハローワークからの紹介が必要になります。
面接等を受けている間は広域求職活動費のことは忘れて、精一杯挑んでください。
面接の受け答えに不安がある方は、ハローワークの窓口を利用してみてください。
事業所にお願いして必要書類に証明してもらう
面接等を受ける際には、前出の広域求職活動面接等訪問証明書は必ず携帯し、事業所に証明してもらうよう依頼しましょう。
選考を受ける立場で依頼するのは心苦しいと思いますが、勇気を出してお願いしましょう。
ハローワークによっては、紹介時に職員が事業所に説明してくれる場合もあります。
その場で書類に証明して手渡しでもらえる場合もありますが、事業所によっては後日郵送になる場合もあります。郵送の場合は、いつ頃届くか確認しておきましょう。
必要書類をハローワークに提出
必要書類の準備が整った後は、ハローワークに提出して申請します。提出する書類は以下の5つ。
提出期限は、広域求職活動が終了してから10日以内と定められています。(雇用保険法施行規則第99条第1項及び第2項)ただし、民法の時効の考え方が援用されるため、広域求職活動が終了してから2年以内であれば申請可能です。
参考 厚生労働省 「雇用保険の給付金は、2年の時効の範囲内であれば、支給申請が可能です」https://www.mhlw.go.jp/content/000993613.pdf
提出が遅れれば遅れるほど、広域求職活動費の支給も遅れます。
また、提出が遅くなると必要書類を失くしてしまうリスクも高まります。
提出はなるべく早めに行いましょう。
提出方法は、以下の3つの方法があります。
- 窓口で直接提出
- 代理人が提出
- 郵送で提出
特別な事情が無い限り、原則は窓口で直接提出しないといけません。窓口での直接提出は、書類の不備があればその場で訂正・追加提出依頼されるため、他の提出方法に比べて一番スムーズに審査が進みます。
すでに就職していたり、ケガや病気などで長期間ハローワークに出向くことが出来ない場合は、「代理人」「郵送」のどちらかの提出が可能です。代理人が提出する場合は、委任状が必要になります。
特別な事情があり、代理人・郵送どちらかで提出する場合は、郵送での提出をオススメします。
代理人は追加の委任状が必要になりますが、代理人と郵送では審査のスムーズさに大差無く、委任状の分だけ手間が増えるからです。
受給後ハローワークから書類が返却される
ハローワークでの審査が終わると支給手続きがされ、支給手続きから7日以内に雇用保険の振り込み口座に振り込まれます。ハローワークによりますが、審査は1~2週間程度かかるため、申請から支給までは通常2~3週間程度かかります。
滅多にありませんが、その場で審査を行い、すぐ支給手続きを行うハローワークもあります。
ハローワークでの支給手続き終了後、ハローワークから以下の書類が返却されます。
- 雇用保険受給資格者証
- 広域求職活動費支給決定書
返却される書類には、支給された広域求職活動費の金額が記載されています。一度確認しておきましょう。雇用保険受給資格者証は、今後の失業保険等の申請でも使用しますので、大切に保管してください。広域求職活動費支給決定書には、支給された金額の内訳が記載されています。内容を確認しておきましょう。
広域求職活動費支給決定書
以上で手続きは終了です。お疲れさまでした。
なお、面接等を受けに行った事業所へ就職が決まり、転居が必要な場合は移転費の対象になる可能性があります。
雇用保険受給中に遠方への就職が決まった場合は、移転費の対象になる可能性があります。移転費の申請方法・対象になる条件・金額については、以下の記事を参考にしてください↓
広域求職活動費のよくある質問
広域求職活動費の申請について、以下でよくある質問に回答します。
不採用でも支給される
- Q面接の結果が不採用でも支給されますか?
- A
支給されます。前出のとおり、広域求職活動費は地域間の就職格差を是正するための制度です。求職活動の支援が目的のため、採用・不採用に関わらず、求職活動を行えば対象になります。
ハローワーク主催の面接会でも対象になる
- Q一般的な面接ではなく、ハローワーク主催の面接会でも対象になりますか?
- A
管轄区域外のハローワーク(片道100km以上)の面接会であれば対象になります。広域求職活動費は、管轄区域外にある遠方の事業所への求職活動を行うための移動費を支援しています。求職活動とは「就職するか否かを決定するために、求人者に面接したり、事業所の状況を実見したりすることをいう。」とされています。ハローワークの面接会も、この条件に当てはまるため、支給対象になります。
WEB面接は対象にならない
- QWEB面接は対象になりますか?
- A
WEB面接のみであれば対象になりません。広域求職活動費は、管轄区域外の事業所を訪問して求職活動を行った場合に支給対象になります。WEB面接であれば事業所への訪問が必要なく、移動費・宿泊費もかからないため、支給対象になりません。ただし、一次面接がWEB、二次面接が現地など、事業所を訪問するのであれば、事業所への訪問が必要な面接等は対象になります。
まとめ(締め)
以上、雇用保険受給者が、遠方に面接に行った場合にもらえる広域求職活動費について、以下の3点から解説しました。
- 失業保険受給中に面接に行く交通費が出るのか
- 広域求職活動費の対象になる条件・金額の計算方法・申請方法
- 広域求職活動費のよくある質問
まとめると以下のとおり。
失業保険受給中に遠方の事業所へ面接に行くと、交通費・宿泊費として広域求職活動費というお金が雇用保険から支給される可能性があります。広域求職活動費は、雇用保険受給者が以下の条件全てに当てはまる場合に、支給対象になります。
広域求職活動費としては交通費と宿泊費をそれぞれ計算して支給され、計算方法は以下のとおり。
申請の流れは以下の6つのステップで行われ、申請に当たっての必要書類は以下の4つ(飛行機を利用する場合は5つ)です。
- 雇用保険受給資格者証
- 求職活動支援費(広域求職活動費)支給申請書
- 広域求職活動指示書
- 広域求職活動面接等訪問証明書
- (飛行機で行ったとき)領収書
広域求職活動費を活用することで、地元だけでなく広い範囲での就職活動が可能となり、より多くの選択肢から自分に合った仕事を見つけることができます。交通費で諦めることがないよう、遠方の会社も選択肢に入れて、どんどん応募していきましょう。
実りある転職になるよう祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。
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