この記事の想定読者
- 今の会社を1年未満で退職しようと考えている方
- 1年未満の退職で失業保険がもらえるのか知りたい方
- 1年未満の退職でも、失業保険をもらえる方法を知りたい方
職場の雰囲気が合わないから退職したいけど…
失業保険って1年以上働かないともらえないんだよね?
基本は1年以上の雇用保険加入期間がないともらえませんが、
1年未満の退職でも受給対象になる場合がありますよ!
会社を退職後、仕事を探す期間の生活保障として失業保険があります。
失業保険の対象者は、以下の条件に当てはまる方です。
- 1年以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
1年未満で会社を退職した場合、通常であれば失業保険の支給対象になりません。
ただし、以下のケースであれば1年未満の退職でも失業保険の対象者になることが出来ます。
この記事では、1年未満で会社を退職した場合に、
- 失業保険の対象になるのか
- 失業保険の対象になるためには
以上2点について解説します。
わかりやすく説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
失業保険の対象者
失業保険の対象者になるには、以下の2つの条件に当てはまる必要があります。
- 1年以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
雇用保険加入期間について、退職以前2年間で1年以上の雇用保険加入期間が必要です。(雇用保険法第13条)
1年以上の雇用保険加入期間について、正確な言い方をすると「賃金支払基礎日数が11日以上の完全月が、12ヶ月分必要」となります。
ここは非常にややこしいので、ざっくりと
「働いた日数が11日以上ある、完全な一月が12月分必要」
と考えてください。
失業状態について、「今現在は仕事に就いておらず、週20時間の仕事を探している状態」を失業状態と呼び、この失業状態であることも条件の1つになります。(雇用保険法第4条第3項)
なお、1ヶ月の出勤日数が11日未満の月がある場合、その月は一月分としてカウントされません。
11日以上の出勤が無く、一月にならない例を表すと以下の画像の通りになります。
ケガや病気、妊娠出産で休んでいる方は要注意です。
1年未満の退職で失業保険はもらえる?
前出のとおり、失業保険の対象になるには1年以上の雇用保険の加入期間が必要です。
1年未満で会社を退職した場合は、失業状態であったとしても失業保険の対象にはなりません。
1年未満の退職で失業保険をもらえる人
1年未満の退職では失業保険がもらえないんだね…
どうやって生活しようかな…
1年未満の退職でも失業保険の受給対象になることもあります。
以下のいずれかに当てはまれば、1年未満の退職でも受給対象になることが出来ます。
会社都合での退職(特定受給資格者)
条件は以下の2つ
- 6ヶ月以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
加入期間について、退職以前1年間で6ヶ月以上の雇用保険加入期間が必要です。(雇用保険法第13条第2項)
失業状態については、前出のものと同じ条件です。
なお、この場合でも1ヶ月の出勤日数が11日未満の月がある場合、その月は一月分としてカウントされません。
会社都合退職ってどんなのがあるの?
一般的なもので言うと、以下の理由での退職です。
倒産
正式な言い方は、「破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等に伴い離職した者」です。
会社が無くなった、事業の継続が出来なくなった場合に退職した人はこの理由です。
解雇
一般的に「クビ」や「リストラ」と呼ばれるものがこれに当たります。
問答無用で会社を辞めさせられる形です。
なお、就業規則等に違反して辞めさせられる「懲戒解雇」はこれに当たりません。
退職勧奨
会社から「辞めてくれないか」と言われて、「わかりました辞めます」と承諾した場合がこれに当たります。
解雇との違いは、労働者側に辞めるか辞めないかの選択権がある点です。
この理由で退職するときは、退職届の提出は必要ありません。
「退職勧奨への合意書」などの書類にサインする形で了承しましょう。
退職届を提出してしまったり、「一身上の都合で退職します」と記載してしまうと、自己都合退職扱いになってしまうことがあります。
退職届を提出してもいいですが、必ず「退職勧奨に合意して」と書きましょう。
絶対に「一身上の都合により退職」とは書かないように。
やむを得ない自己都合での退職(特定理由離職者)
条件は同じく以下の2つ
- 6ヶ月以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
なお、この場合でも1ヶ月の出勤日数が11日未満の月がある場合、その月は一月分としてカウントされません。
やむを得ない自己都合退職ってどんなのがあるの?
一般的なもので言うと、以下の理由での退職です。
なお、いずれの離職についても証明書類が必要です。
ケガや病気
- 退職せざるを得なかった医師の診断書
- 週20時間以上働ける医師の診断書
- かかりつけの病院
ケガや病気で退職せざるを得ない状態での退職がこれに当たります。
どんなケガや病気でも対象になりますが、「退職せざるを得なかった」という医師の診断書が必要になります。
また、週20時間以上働けることが失業保険の受給条件になりますので、週20時間以上働ける医師の診断書も必要になります。
診断書の内容によっては、何枚ももらわないといけなくなることがあります。
まとまった証明様式がハローワークにあることが多いので、先にハローワークに行って様式をもらいましょう。
なお、ケガや病気で退職し、すぐに働けない期間は失業保険の受給はできません。
受給期間の延長の手続きをしておきましょう。
受給期間の延長については以下のURLを参考にしてください。
参考 マネタス 失業保険の受給期間を延長したい!対象者の条件&申請方法をFPが徹底解説 https://manetasu.jp/1276911
結婚による転居
- 婚姻証明書
- 新旧の住所が確認できるもの(住民票・旧住所が裏書されている免許証)
- 婚姻証明書=市役所・区役所
- 住民票=市役所・区役所
- 旧住所が裏書された免許証=警察署
結婚を機に転居し、転居後の住所から勤務先までの通勤時間が2時間を超えるとき、この理由に当てはまります。
なお、転居日について、退職から転居するまでの期間がおおむね1ヶ月以内であることが条件になります。(事業主の都合で退職日が年末や年度末になった場合を除く)
退職日から転居日までが1ヶ月以上離れていても、事情によっては対象になる可能性があります。
窓口で相談してみましょう。
親族の介護
- 要介護状態がわかる書類(介護保険被保険者証・医師の診断書など)
- 親族であることの確認ができる書類(住民票・戸籍謄本など)
- 介護保険被保険者証=市役所・区役所
- 医師の診断書=親族のかかりつけの病院
- 住民票・戸籍謄本=市役所・区役所
父・母・兄弟など、親族の介護が必要なため退職した場合この理由に当てはまります。
なお、この理由に当てはまるためには、退職を申し出た時点で、介護期間が30日以上必要である状態でないといけません。
1年未満の雇用保険加入期間を合算すれば1年以上になる
1年未満の離転職を繰り返しているときや、直近の会社を早期で退職したが、その前の会社で長く働いていた場合などがこれに当てはまります。
合算するときの注意点は以下の2つ。
- 11日以上出勤していないと一月分としてカウントしない
- 満1ヶ月在籍していなければ一月分としてカウントしない
1ヶ月間で11日以上出勤していない例
満1ヶ月以上在籍していない例
月の計算はルールがややこしいです。
これまでの離職票を集めて、ハローワークの窓口で聞いてみましょう。
まとめ
以上、1年未満で退職した場合に失業保険の受給対象になるのか、その方法について解説しました。
まとめると以下になります。
失業保険の対象になる基本的な条件は以下のとおり。
- 1年以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
1年未満の退職は原則失業保険の対象になりませんが、以下のケースであれば対象になることがあります。
会社都合での退職のときに、失業保険の対象になる条件は以下のとおり。
- 6ヶ月以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
やむを得ない自己都合での退職のときに、失業保険の対象になる条件は以下のとおり。(会社都合での退職と同じです)
- 6ヶ月以上の雇用保険加入期間
- 失業状態であること
どうしても仕事が合わなければ、早々に辞めるのも一つの手です。
スキルを磨きながら、自身に合った仕事が見つかるまで諦めず転職活動をがんばりましょう。
実りある転職になるよう祈っております。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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