未就学児など、小さい子供を育てながらの仕事探しは困難がたくさんあります。面接には連れていけないので、家族の手を借りたり、保育所の一時預かりサービスを利用する方もいらっしゃると思いますが、回数が重なると金銭的な負担が大きくなります。
失業保険受給中の方が、企業の面接を受けるにあたって保育等サービスを利用した場合、サービス料の一部を雇用保険から負担してもらえる「求職活動関係役務利用費」という制度があります。この制度を利用すると、「企業と面接等」or「職業訓練等の受講」をするために、保育等サービスを利用した場合、サービス利用料の80%を補助してもらうことが出来ます。対象者の条件は以下のとおり。
- 失業保険受給者
- 待期期間を経過後している
- 求人者と面接等をするor職業訓練を受講する
- 子供のための保育等サービスを利用する
求職活動関係役務利用費として支給される金額は、負担した保育等サービス利用料の80%で、1日あたり6,400円が上限になります。活動の内容ごとに支給日数に上限があり、以下の取扱いになります。
- 求人者との面接等 15日
- 職業訓練の受講 60日
申請手続きの流れは以下のとおり。
- 求職活動を行い保育等サービスを利用する
- 必要書類を準備する
- 失業認定日にハローワークに申請する
- 支給処理終了後、書類が返送される
申請に当たって必要になる書類は以下のとおりです。ハローワーク窓口で様式をもらえたり、公的機関の証明などが必要になります。
- 求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 保育等サービス料金の領収書
- 保育等サービス利用証明書
- 子供の氏名・続柄が分かる書類
- 求職活動の証明書
- 教育訓練・職業訓練の受講証明書
- (あれば)返還金明細書
- (あれば)地方自治体等からの補助証明書
この記事では、失業保険受給が保育等サービスを利用した場合に受けることが出来る求職活動関係役務利用費について、以下の3点から解説します。
- 求職活動関係役務利用費とはなにか
- 求職活動関係役務利用費の対象者とは
- 求職活動関係役務利用費の金額・申請方法とは
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
失業保険受給中に求職活動を行うと保育等サービス利用料が補助される
失業保険受給中、企業の面接を受けるにあたって保育等サービスを利用した場合、サービス料の一部を雇用保険から負担してもらえる制度があります。「求職活動関係役務利用費」と呼ばれる制度で、所得制限等は一切なく、失業保険受給者は広く利用可能です。(対象者の詳細は後述)
求職活動関係役務利用費は、失業保険受給者が「企業と面接等」or「職業訓練等の受講」をするために、保育等サービスを利用する場合、サービス利用料の80%を補助する制度です。雇用保険法に規定されている就職促進給付と呼ばれる給付金の一種で、求職活動をスムーズに進め、早期の再就職につなげることを目的にしています。
参考 雇用保険法第59条第1項第3号 雇用保険法施行規則第100条の6 「求職活動関係役務利用費のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000156202_1.pdf
子育てしながら求職活動中のお父さんお母さんはぜひ利用してみてください。
求職活動関係役務利用費の対象者の条件
求職活動関係役務利用費の対象者は、以下のすべてに当てはまる方です。
- 失業保険受給者
- 待期期間を経過後している
- 求人者と面接等をするor職業訓練を受講する
- 子供のための保育等サービスを利用する
参考 雇用保険業務取扱要領57961
失業保険受給者
求職活動関係役務利用費の対象になるには、保育等サービスを利用した時点で失業保険受給者であることが必要です。失業保険とは、1年以上雇用保険に加入していた方が、会社を退職後、失業状態にある場合に申請・受給できる、社会保険制度の一つです。
失業状態とは、「自営業や週20時間以上の仕事をしておらず、週20時間以上の仕事を探しており、自分にあった仕事が見つかれば働ける状態」のことを言います。
失業保険を受給するには、会社を退職後、所定の様式を持ってハローワーク窓口に行く必要があります。
会社を退職すると自動で対象になるわけではありませんので、ご注意ください。
失業保険を申請する際の持ち物、申請方法については、以下の記事を参考にしてください↓
待期期間を経過している
求職活動関係役務利用費の対象になるには、保育等サービスを利用するのが待期期間経過後である必要があります。待期期間とは、失業保険申請後、最初の7日間の失業状態を確認する期間です。雇用保険の各種給付は、この待期期間経過後でなければ受給対象になりません。求職活動関係役務利用費も例外ではなく、対象になるには待期期間経過後に保育等サービスを利用しなければいけません。
実際に保育サービスを利用する日が待期期間経過後であれば、企業への応募・エントリーは待期期間中でもOKです。
待期期間は失業保険申請後の最初の7日間で確認されますが、待期期間中にアルバイトを行うと、7日以上かかることもあります。待期期間中にアルバイトするとどうなるのか、しない方がいいのかなど、待期期間中のアルバイトについては、以下の記事を参考にしてください↓
求人者と面接等をするor職業訓練を受講する
求職活動関係役務利用費の対象になるには、保育等サービスを利用する理由が、以下のいずれかである必要があります。
- 求人者と面接等をするため
- 職業訓練を受講するため
求人者と面接等をする
求人者と面接等をするとは、以下のいずれかを行うことです。
- 面接を受ける
- (採用選考の)筆記試験を受ける
- ハローワークで職業相談する・職業紹介を受ける
- 民間の職業紹介事業者・労働者派遣事業者の職業相談する・職業紹介を受ける
- 地方自治体・求人情報提供会社・新聞社等が行う求職活動に関する指導を受ける
- 地方自治体・求人情報提供会社・新聞社等が行う企業説明会に参加する
失業保険の認定を受けるための「求職活動実績」と同じ活動が対象です。(応募書類の郵送を除く)
ハローワーク窓口で職業相談を受けるために保育等サービスを利用し、求職活動関係役務利用費を申請していた方もいました。
認められる活動の範囲は広いです。
民間の職業紹介会社とは、いわゆる転職エージェントの会社です。具体例として以下のサイト・会社が該当します。
- リクルートエージェント
- マイナビエージェント
- JACリクルートエージェント
労働者派遣事業者とは、いわゆる派遣会社です。具体例として以下のサイト・会社が該当します。
- リクルートスタッフィング
- パーソルテンプスタッフ
- アウトソーシングテクノロジー
求人情報提供会社とは、求人サイトの運営を行っている会社です。具体例として以下のサイトを運営している会社が該当します。
- リクナビNEXT
- マイナビ転職
- doda
上記の会社以外にも該当する会社はたくさんあります。
参加を考えているイベントが活動に該当するかについては、管轄のハローワークに確認しましょう。
職業訓練を受講する
職業訓練を受講するとは、以下のいずれかを行うことです。
- 公共職業訓練等を受講する
- 求職者支援訓練を受講する
- 各種養成施設に入校する
- 教育訓練給付の対象講座を受講する
- 委託訓練・講習を受講する(産業雇用安定センターが行うもの)
公的職業訓練・求職者支援訓練・各種養成施設は、いずれもハローワークを通じて入校した場合に対象になります。ハローワーク以外のあっせん・指示を受けて入校する場合は、求職活動関係役務利用費の対象にならない可能性があるので注意してください。
教育訓練給付とは、再就職の促進・雇用の安定を目的とした雇用保険給付制度の一つです。民間の資格講座を受講した場合に、入学金・受講料の一部を補助してもらえる制度で、令和6年現在で対象講座は約3,000件あります。教育訓練給付の対象講座に指定されている資格・免許は以下のとおり。
出典 厚生労働省 教育訓練給付の講座指定について https://www.mhlw.go.jp/content/001291442.pdf
教育訓練給付の対象講座は、各民間スクールが講座単位で申請し、厚生労働大臣から認可を受けた場合のみ対象講座として扱われます。
例
A校・B校はどちらも保育士と宅建士の資格取得を目指す講座を取り扱っている。教育訓練給付の対象講座として指定を受けているのは、以下のとおり。
- A校は保育士の講座のみ
- B校は宅建士の講座のみ
このとき、求職活動関係役務利用費の対象に「なる」or「ならない」を整理すると、以下のとおり。
- A校で保育士の講座を受講 ⇒ 対象になる(教育訓練給付も対象になる)
- A校で宅建士の講座を受講 ⇒ 対象にならない(教育訓練給付も対象にならない)
- B校で保育士の講座を受講 ⇒ 対象にならない(教育訓練給付も対象にならない)
- B校で宅建士の講座を受講 ⇒ 対象になる(教育訓練給付も対象になる)
教育訓練給付の対象講座は、「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」から検索することが出来ます。
自分で検索しきれない場合は、受講を考えている学校に直接確認する方法もあります。
対象になっていればすぐに回答してもらうことが出来ますし、「教育訓練給付って何ですか?」というような回答であれば、十中八九対象講座ではありません。
産業雇用安定センターが行う、委託訓練・講習を受講する場合も求職活動関係役務利用費の対象になりますが、該当する方はかなり少数なので省略します。
子供のための保育等サービスを利用する
求職活動関係役務利用費の対象になるには、子供のための保育等サービスを利用する必要があります。ポイントは以下の2点。
- 対象になる「子供」の範囲
- 対象になる保育等サービスの種類
参考 雇用保険業務取扱要領57962
求職活動関係役務利用費の対象になる「子供」の範囲
求職活動関係役務利用費の対象になる子供の範囲は、「法律上の親子関係」を基準に、広く認められています。実子・養子はもちろん、まだ養子になっていなくても、養親になることを希望して自身が監護している状態の子供は、「法律上の親子関係」に準じて対象になるとされています。対象になる子供の範囲をまとめると、以下のとおり。
- 実子
- 養子
- 特別養子縁組を成立させるために監護を受けている子供
- 養子縁組を希望している養親に育てられている子供
- 養育里親の子供
法律上の親子関係がある子供は全て対象です。
そこにプラスして「法律的に親子関係は無いけれど、実質自分が育てている子供」も対象になります。
なお、子供の対象年齢は規定されていませんが、対象になる保育等サービスを利用できるのが就学前の子に限定されているため、求職活動関係役務利用費の対象も就学前の子供に限定されます。
求職活動関係役務利用費の対象になる保育等サービスの種類
求職活動関係役務利用費の対象になる保育等サービスは、認可を受けている保育事業所を利用した場合に限られます。具体的には以下の保育事業所が対象になります。
- 認可保育園
- 各認定こども園(幼稚園型・保育所型など)
- 認可を受けた以下の各保育事業
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 居宅訪問型保育事業
- 事業所内保育事業
- 延長保育事業
- 放課後児童健全育成事業
- 子育て短期支援事業
- 一時預かり事業
- 病児保育事業
- 子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)
- ひとり親家庭日常生活支援事業
たくさんありますが、要は「認可を受けている」or「国・市町村が法律に基づいて作っている」保育事業所が対象です。
サービスを利用する前に、認可を受けているか確認しておきましょう。
求職活動関係役務利用費の金額・計算方法
求職活動関係役務利用費として支給される金額は、負担した保育等サービス利用料の80%です。計算の際に小数点以下は切り捨てられ、1日あたり6,400円が上限になります。求職活動関係役務利用費は1日単位で支給されますが、支給日数に上限があり、活動の内容ごとに以下の取扱いになります。
- 求人者との面接等 15日
- 職業訓練の受講 60日
参考 雇用保険業務取扱要領57971
1日あたりの利用金額×利用日数で計算して支給されます。
利用できる日数にも上限があり、無限に支給されることはありません。
例1
- 1日5,000円する保育サービスを利用
- 面接が2日間
- 職業訓練が5日間
このとき、支給される求職活動関係役務利用費は、以下の金額になります。
(5,000円×0.8×2日分)+(5,000円×0.8×5日分)=28,000円
例2
- 1日10,000円する保育サービスを利用
- 面接が20日間
- 職業訓練が100日間
10,000円の80%は8,000円ですが、上限が6,400円のため1日分は6,400円で計算されます。このとき、支給される求職活動関係役務利用費は、以下の金額になります。
(6,400×15日分)+(6,400×60日分)=480,000円
なお、この480,000円は、求職活動関係役務利用費としてもらえる最大金額です。
金額の計算にあたっては、以下の3つの注意点があります。
保育等サービス利用料は1日単位で計算する
保育等サービス利用料の計算は、1日単位で行います。月額でサービス料金を支払っている場合など、保育等サービス料金を1日以上の期間で支払っている場合は、「総額÷計算基礎日数」で計算した金額が1日分の利用料金になります。
例
- 月額保育料 60000円
- 6月に面接を5日受けた
このときの求職活動関係役務利用費は以下の計算式になり、5日分が支給されます。
(60,000円÷30日×5日)×0.8 = 8,000円
なお、面接を受けたのが5月であれば以下の計算式で5日分が支給されます。
(60000円÷31日×5日)×0.8 = 7,741円
月額で保育料を支払っている場合は、面接を受ける時期によって支給金額が変わります。
ご注意ください。
本人が直接支払った保育等サービス料金のみが対象
求職活動関係役務利用費は、本人が直接支払った保育等サービス料金のみが計算の対象になります。ポイントは以下の2点。
- 本人が直接支払った
- 保育等サービスの料金
本人が直接支払った
本人が保育等サービス事業者に直接支払った金額のみが利用料金として対象になります。地方自治体や、両親・兄弟姉妹・配偶者など、本人以外が支払った金額は利用料金として認められません。
誰が支払ったのかは、領収書で確認します。保育等サービス料金は必ず自身で支払い、自身の名前の領収書をもらうようにしてください。
領収書の名前が第三者の場合、求職活動関係役務利用費の対象にならない可能性があります。
特に、配偶者の扶養に入っていた期間が長い方が、ついクセで配偶者の名前で領収書をもらってしまうことがあります。
注意しましょう。
保育等サービスの料金
求職活動関係役務利用費の計算対象になるのは保育等サービス料金のみであり、サービス利用のための交通費や、クレジットカード払いの分割手数料などは計算対象になりません。保育等サービスの料金は、保育事業者が証明する領収書の金額で確認します。
ちなみに、保育等サービス料金にも消費税がかかりますが、消費税も保育等サービス料金の一部として計算対象になります。
また、保育等サービス料金の一部を支払っていない場合、支払っていない金額分は求職活動関係役務利用費の計算対象になりません(クレジット払いを除く)。現金手渡し・銀行振込支払いなどで支払う際に「料金の一部だけ先に支払い、求職活動関係役務利用費をもらってから残りを支払おう。」ということは出来ませんのでご注意ください。
クレジット以外で支払う場合は、必ず一括で支払うようにしましょう。
他の機関・自治体からの補助分は差し引いて計算する
地方自治体等の機関から保育等サービス利用料の補助を受ける場合、受けた補助金額分は保育等サービス利用料から差し引かれます。保育等サービス利用料の割引を受ける場合も同じで、割り引かれた金額が保育等サービス利用料になります。
保育等サービス利用料は、自身が負担した金額に限られます。
手当や割引を受ける場合に、その金額を申告しないと不正受給になりますので、ご注意ください。
不正受給になるとどんな処分が下されるのか、不正受給になってしまった場合の対処法については、以下の記事を参考にしてください↓
求職活動関係役務利用費の申請方法
求職活動関係役務利用費の申請は、以下のステップで行います。
- 求職活動を行い保育等サービスを利用する
- 必要書類を準備する
- 失業認定日にハローワークに申請する
- 支給処理終了後、書類が返送される
求職活動を行い保育等サービスを利用する
まずは、対象になる求職活動を行い、保育等サービスを利用します。対象になる活動・保育等サービスは前出のものを確認してください。
申請にあたっては、面接をした企業・訓練を受けた学校・利用した保育事業者から、証明をもらう必要があります。証明に時間がかかる場合もありますので、なるべく面接日・訓練受講日・保育等サービス利用日の当日に証明の依頼をしておきましょう。
面接をした会社にその場で依頼するのは気が引けると思いますが、勇気を出してお願いしましょう。
案外すんなりと聞いてくれますよ。
必要書類を準備する
申請に必要な書類を事前に準備します。必要書類は以下のとおり。
- 求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 保育等サービス料金の領収書
- 保育等サービス利用証明書
- 子供の氏名・続柄が分かる書類
- 求職活動の証明書
- 教育訓練・職業訓練の受講証明書
- (あれば)返還金明細書
- (あれば)地方自治体等からの補助証明書
提出が必須なものと必須でないものがあります。
順番に見ていきましょう。
求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書
求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書は、提出が必須な書類です。ハローワークの窓口でもらえて、自身で記入します。事前に窓口でもらって自宅で記入するか、申請日当日にもらってその場で記入しましょう。
ただし、初めての申請の場合は、事前にもらって自宅で記入しておくことをオススメします。
その場で記入すると、何を書いているのか分からなくなることがあります。
次回以降の申請のためにも、初回申請時は自宅で落ち着いて記入しましょう。
雇用保険受給資格者証
雇用保険受給資格者証は、提出が必須な書類です。証明や自身の記入は必要なく、そのまま提出すればOKです。雇用保険受給資格者証は、失業保険申請後、1週間程度経過後にハローワークからもらえます。ただし、失業保険申請に必要な書類を提出が完了していないともらえません。必要書類は早めに提出しましょう。
もし雇用保険受給資格者証を失くしてしまった場合は、再発行が可能です。
以下の2つを持ってハローワーク窓口に行きましょう。
- 本人確認書類(免許証orマイナンバーカード)
- 写真1枚
保育等サービス料金の領収書
保育等サービス料金の領収書は、提出が必須な書類です。自身の記入は必要ありませんが、サービスを利用した保育事業者が発行したものである必要があります。また、領収書には以下の事項が記載されている必要があります。
- 保育事業者の名称
- 保育施設の名称
- 利用者(支払者)の氏名
- 領収金額(又はクレジット契約額)
- 領収日(又はクレジット契約日)
- 領収印
「どこのサービスを」「どこで利用して」「誰が」「いくら」「いつ」 支払ったかの確認です。
ちなみに、領収金額が訂正されている領収書は無効扱いになりますので、金額が間違っていた場合は新しい領収書を発行してもらいましょう。
保育等サービス利用証明書
保育等サービス利用証明書は、提出が必須な書類です。自身の記入は必要ありませんが、サービスを利用した保育事業者の証明が必要です。様式はハローワークの窓口でもらえますので、事前にもらっておきましょう。
預ける段階で、保育事業所に頼んでおくと手続きがスムーズです。
子供の氏名・続柄が分かる書類
子供の氏名・続柄が分かる書類は、提出が必須です。公的機関が発行する書類でないといけませんが、子供との関係によって発行依頼する機関が変わります。子供との関係と必要な書類、発行機関の具体例は以下のとおり。
- 実子・養子(法的な親子関係あり) ⇒ 住民票記載事項証明書(市町村)
- 特別養子縁組を成立させるための監護中 ⇒ 事件係属証明書(家庭裁判所)
- 養子縁組里親 ⇒ 委託措置決定通知書(児童相談所)
- 養育里親 ⇒ 委託証明書(児童相談所)
この証明書は、初回の申請のみ提出が必要です。
2回目以降の申請時には提出が省略できます。
求職活動の証明書
求職活動を行って保育等サービスを利用した場合は、求職活動の証明書の提出が必須です。求職活動を行った相手方の証明が必要になり、様式はハローワークの窓口でもらえますので、事前にもらっておきましょう。活動した内容と証明する機関の具体例は以下のとおり。
- 面接を受ける ⇒ 面接を受けた企業
- ハローワーク・民間職業紹介事業者等で職業相談する・職業紹介を受ける ⇒ 相談した・紹介を受けたハローワーク・職業紹介事業者
- 新聞社・求人情報提供事業者が主催の企業説明会に参加する ⇒ 説明会を主催している新聞社・求人情報提供事業者
面接を受けた企業によっては、証明に1週間以上時間がかかることもあります。
証明の依頼はなるべく早めに行いましょう。
この証明書で、「行った求職活動の内容」「日付」「日数」を確認します。
教育訓練・職業訓練の受講証明書
教育訓練・職業訓練を受講しするために保育等サービスを利用した場合は、教育訓練・職業訓練の受講証明の提出が必須です。教育訓練・職業訓練を受けた学校の証明が必要になり、様式はハローワークの窓口でもらえますので、事前にもらっておきましょう。
ハローワークからの受講指示で公共職業訓練を受講する場合は、職業訓練校が毎月発行する「受講証明書」を証明書として提出することも可能です。
公共職業訓練を受講している方は、一度ハローワークに確認してみましょう。
(あれば)返還金明細書
保育等サービス利用料金の領収書発行後、値引きや割引などで料金の一部が返還された場合は、返還金明細書の提出が必要になります。返還金明細書は、サービスを利用した保育事業所に発行してもらいます。様式はハローワークの窓口でもらえますので、該当する場合は事前にもらっておきましょう。
滅多にありませんが、利用料金の改定などで対象になることがあります。
返還金があるのに返還金明細書を提出しない場合、不正受給として処分されますので、注意してください。
(あれば)地方自治体等からの補助証明書
地方自治体等から保育等サービス利用料の補助を受ける場合は、金額を証明する書類の提出が必要になります。補助を行った地方自治体等が発行する正式な書類でないといけませんが、様式は指定されていません。
自治体等によって、発行してもらえる書類が変わります。
どんな書類であれば認められるのか、最終判断はハローワークが行うので、該当する方は事前にハローワークで確認しておきましょう。
失業認定日にハローワークに申請する
準備した必要書類を失業認定日にハローワーク窓口に提出し、求職活動関係役務利用費の申請を行います。公共職業訓練の受講中であったり、その他窓口に行けない正当な理由がある場合は、郵送or代理人による申請も可能です。
ただし、代理人による申請の場合は追加で委任状が必要になります。
窓口に行けない正当な理由とは、就職や入院、海外転居などが挙げられます。
求職活動関係役務利用費は、申請後、ハローワークで審査~支給処理が行われ、1週間程度で失業保険の口座に振り込まれます。審査~支給処理までは通常1~2週間程度かかりますので、申請してから実際に振り込まれるまでは2~3週間かかることが多いです。
申請が遅れると、その分支払いも遅れていきます。
なるべく早めに申請しましょう。
支給処理終了後、書類が返送される
ハローワークでの支給処理が終わると、以下の書類が返送されます。
- 求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給・不支給決定通知書
- 雇用保険受給資格者証
求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給・不支給決定通知書には、今回の申請で支給された金額・支給日数、累計の支給日数が記載されています。念のため、間違いが無いか確認しておきましょう。なお、この支給・不支給決定通知書は、今後使用することはほとんどありません。
雇用保険受給資格者証は、次回以降の失業保険・求職活動関係役務利用費の申請や、各種雇用保険給付金の申請に使用するので大切に保管しましょう。
特に、雇用保険受給資格者証は、返送されたことに気づかず紛失してしまう方もいます。
大切に保管しておいてください。
求職活動関係役務利用費のよくある質問
以下で、求職活動関係役務利用費に関してのよくある質問と回答を記載します。
失業保険受給終了後に申請しても間に合う?
- Q失業保険受給終了後に申請しても間に合う?
- A
間に合います。保育サービス利用時に失業保険受給者であれば、申請が失業保険受給後でも問題ありません。また、求職活動役務利用費の申請時効は2年です。サービス利用から2年以内であれば申請可能です。
参考 雇用保険業務取扱要領57961 厚生労働省 「雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能です」https://www.mhlw.go.jp/content/000993613.pdf
教育訓練給付の対象講座を受講するときは両方申請しないとダメ?
- Q教育訓練給付の対象講座を受講して求職活動役務利用費を申請するときは、同時に教育訓練給付の申請をしないとダメ?
- A
教育訓練給付の申請をしなくてもOKです。教育訓練給付の対象講座を受講するために保育サービス等を利用すればよく、結果的に教育訓練給付の申請をしなくても、求職活動役務利用費の対象になれます。
まとめ(締め)
以上、失業保険受給が保育等サービスを利用した場合に受けることが出来る、求職活動関係役務利用費について、以下の3点から解説しました。
- 求職活動関係役務利用費とはなにか
- 求職活動関係役務利用費の対象者とは
- 求職活動関係役務利用費の金額・申請方法とは
まとめると以下のとおり。
失業保険受給中の方が企業の面接を受けるなど、求職活動を行うために保育等サービスを利用した場合「求職活動関係役務利用費」という制度が利用でき、保育サービス利用料の80%を補助してもらうことが出来ます。対象者の条件は以下のとおり。
- 失業保険受給者
- 待期期間を経過後している
- 求人者と面接等をするor職業訓練を受講する
- 子供のための保育等サービスを利用する
求職活動関係役務利用費として支給される金額は、負担した保育等サービス利用料の80%で、1日あたり6,400円が上限になります。活動の内容ごとに支給日数に上限があり、以下の取扱いになります。
- 求人者との面接等 15日
- 職業訓練の受講 60日
金額の計算にあたっては以下の3つの注意点があり、申請の際には注意が必要です。
求職活動関係役務利用費を受けるためにはハローワークへの申請が必要になり、申請手続きの流れは以下のとおりです。
- 求職活動を行い保育等サービスを利用する
- 必要書類を準備する
- 失業認定日にハローワークに申請する
- 支給処理終了後、書類が返送される
申請に当たっての必要書類は以下のとおり。提出が必須なものと必須ではないものがあります。
- 求職活動支援費(求職活動関係役務利用費)支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 保育等サービス料金の領収書
- 保育等サービス利用証明書
- 子供の氏名・続柄が分かる書類
- 求職活動の証明書
- 教育訓練・職業訓練の受講証明書
- (あれば)返還金明細書
- (あれば)地方自治体等からの補助証明書
求職期間が長引くと、金銭的な負担が大きくなります。雇用保険の各種給付金を上手に活用して、有利に求職活動を進めていきましょう。
実りある転職になるよう祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。
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