- お得にリスキリング・資格取得講座を受講したい方
- 専門実践教育訓練給付制度の申請方法・対象者・支給金額について知りたい方
「資格を取ってキャリアアップしたい」「転職に向けて専門スキルを身につけたい」そう思っても、数十万円〜数百万円の授業料を前に、二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そんなときに活用できるのが、専門実践教育訓練給付金です。これは、雇用保険の制度のひとつで、条件を満たせば入学金+受講料の80%、最大192万円の支給を受けることができる手厚い制度です。
対象になるには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
申請から支給までの流れは以下の6ステップです。
- 受講する教育訓練対象講座を見つける
- キャリアコンサルティングを受ける
- 受給資格確認申請(講座開始の14日以上前までに行う)
- 教育訓練講座の受講中に半年に1回申請を行う
- 受講修了後、資格取得・就職で追加給付の申請を行う
- (令和6年10月以降)賃金が5%以上上昇でさらに追加給付の申請
この記事では、専門実践教育訓練給付金制度について、以下の3点から解説します。
- 専門実践教育訓練給付金制度とは(メリットや注意点)
- 専門実践教育訓練給付金制度の申請手続きの流れ
- 制度の利用をオススメする人
この制度を知っているかどうかで、未来の選択肢は大きく変わります。制度を活用し、理想のキャリアへ一歩前進しましょう!
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
雇用保険に関する業務取扱要領 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
専門実践教育訓練給付金とは?

専門実践教育訓練給付金とは、厚生労働省が定めた教育訓練講座を受講した場合に、受講費用の50%(上限40万円/年)を支給してくれる制度です。さらに、受講修了後に対象資格を取得し、雇用保険に加入する条件で就職した場合には、追加で受講費用の20%が支給され、通常の支給と合計して70%(上限56万円/年)の費用が支給されます。
参考 雇用保険業務取扱要領58201ー58210
また、令和6年10月1日以降に訓練を開始した場合は、訓練修了後に上記追加給付を受け取った後、受講前と比べて賃金が5%以上上昇していることが確認できた場合、さらに追加で10%の給付が受けられる仕組みが新たに加わりました。これにより、上記の支給と合わせて最大80%(上限64万円/年)が支給されます。

専門実践教育訓練給付は、社会人の「学び直し=リスキリング」やキャリアアップ、転職支援を目的とした制度です。近年は、技術革新や産業構造の変化が加速しています。変化に対応できる職業能力を身につけるために、「学び直し(リスキリング)」を行う必要性が高まっていますが、働きながら新たな分野を学ぶことには、経済的・時間的なハードルがあるのが実情です。
専門実践教育訓練給付制度は、訓練費用の一部または大部分を給付金として支給することで、経済的不安を軽減し、社会人が安心して学びに取り組める環境を整える狙いがあります。

専門実践教育訓練給付制度は、社会人のキャリア形成や再就職・スキルアップを後押しするために、経済的な側面からのサポートを行うための制度です。
専門実践教育訓練制度の利用にあたっての注意点
対象となる講座の例
専門実践教育訓練給付金の対象講座は、厚生労働省の認定を受けている必要があります。以下のような分野の講座が該当します。
- 看護師、保育士、介護福祉士などの資格取得講座
- 情報処理、AI、プログラミングなどのIT分野
- 法科大学院やMBAなどの専門職大学(夜間や通信制も含む)
専門実践教育訓練給付の対象になる講座は、学校や資格単位で自動的に認定されているわけではありません。たとえば、「介護福祉士」「保育士」「情報処理技術者」などの資格を目指す講座であっても、その講座が厚生労働大臣の指定を受けていなければ、給付金の対象にはなりません。
同じ資格を目指せる学校や通信講座であっても、「A校の講座は対象、B校の講座は対象外」というケースがありえます。講座を調べるときにはご注意ください。
対象講座の検索には、厚生労働省の教育訓練講座検索システムを活用しましょう。ただし、受講したい学校がすでに決まっている場合は、その学校に直接聞くのが一番早い方法です。

学校に直接聞くときは、「〇〇の講座は教育訓練給付の対象講座ですか?」と聞けばOKです。
講座の調べ方、検索方法についての詳細は以下の記事を参考にしてください↓
受給できる条件
給付を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
参考 雇用保険業務取扱要領58211
上記の条件を満たしていれば、離職中・在職中にかかわらず給付の対象となる可能性があります。手続きや要件の確認には時間がかかることもあるため、早めにハローワークで相談しておくと安心です。
過去に専門実践教育訓練給付金を受給したことがある場合は、前回の「最終受給日」から、今回の講座の「受講開始日」までに3年以上が経過していることが必要です。複数回の利用は可能ですが、一定の間隔が求められる点に注意してください。
3年以上の雇用保険加入期間
原則として、受講開始日までに通算で3年以上の雇用保険加入期間があることが必要です。ただし、給付制度の利用が初めての場合は、2年以上の加入で対象となります。離職中であっても、離職から1年以内の受講開始であれば受給の対象になります。
そもそもの雇用保険の加入条件については、以下の記事を参考にしてください↓
雇用保険の加入対象になっているが、実際に雇用保険に加入している or できているのかを確認する方法については、以下の記事を参考にしてください↓
指定の期日までに申請を行っている
受講開始日の14日前までに、ハローワークで「受給資格確認」の申請手続きを完了している必要があります。これを過ぎると、給付の対象外となる可能性があるため注意しましょう。特にオンライン講座や夜間講座などで受講開始日程が読みづらい場合は、早めに手続きを済ませておくことをオススメします。
教育訓練給付の対象講座であること
受講する講座が厚生労働大臣の指定を受けた「専門実践教育訓練給付の対象講座」であることが必要です。なお、対象資格や学校名だけで判断せず、講座単位での指定があるかどうかを確認しましょう。講座によっては、同じ資格でも給付対象外となっている場合がありますので、ご注意ください。
受給できる金額
専門実践教育訓練給付制度を活用すると、条件を満たせば最大80%の給付を受けることができます。必ず80%給付されるわけではなく、「受講修了」「資格取得&就職」「賃金アップ」といった3つの段階ごとに給付額が追加される仕組みになっています。
参考 雇用保険業務取扱要領58215
- 受講中・修了時の給付(50%)
- 厚生労働大臣が指定した教育訓練講座を受講すると、受講費の50%(年間最大40万円)が支給されます。最大3年分まで対象になるため、合計最大120万円の支給が可能です。
- 試験合格&就職による追加給付(20%)
- 講座の修了後、関連する資格試験に合格し、就職した場合、受講費の追加20%(年間最大16万円)が支給されます。こちらも3年分で最大48万円の追加支給が受けられます。
- 賃金上昇による追加給付(10%)※令和6年10月以降に受講開始した場合のみ
- 令和6年10月1日以降に受講を開始した方が対象です。
- 訓練修了後の就職で、訓練受講前より賃金が5%以上上昇していると、さらに追加10%(年間最大8万円)の支給があります。こちらも3年分で最大24万円の支給が可能です。
具体的な給付例(受講費60万円/年の場合)
給付段階 | 給付率 | 年間給付額 | 最大給付額(3年間) |
---|---|---|---|
受講中・修了 | 50% | 30万円 | 90万円 |
資格取得+就職 | 20% | 12万円 | 36万円 |
賃金5%アップ達成 | 10% | 6万円 | 18万円 |
合計 | 80% | 48万円 | 144万円 |
専門実践教育訓練給付金制度の申請から支給までの流れ

専門実践教育訓練給付制度を活用するには、事前準備や受講中・修了後の複数の手続きが必要です。以下の流れに沿って、スムーズに申請を進めましょう。
- 受講する教育訓練対象講座を見つける
- キャリアコンサルティングを受ける
- 受給資格確認申請(講座開始の14日以上前までに行う)
- 教育訓練講座の受講中に半年に1回申請を行う
- 受講修了後、資格取得・就職で追加給付の申請を行う
- (令和6年10月以降)賃金が5%以上上昇でさらに追加給付の申請
受講期間中は6ヶ月ごとに分割して支給され、修了後に資格取得+雇用保険加入などの要件を満たすと追加支給があります。専門実践教育訓練給付金の申請・受給は複数の段階を踏む必要がありますが、事前に流れと必要書類を把握しておけば、スムーズに手続きを進めることができます。

制度の流れや期限をしっかり把握しながら、安心してスキルアップに挑戦しましょう。
Step1:受講する教育訓練対象講座を見つける
まずは、厚生労働大臣が指定した教育訓練講座の中から、自分の希望する分野・資格・スキルに合った講座を探しましょう。対象講座の検索は、教育訓練講座検索システムから行うことができます。
教育訓練給付制度の利用は、対象講座を見つけないと始まりません。対象講座の検索方法・調べ方についての詳細は、以下の記事を参考にしてください↓
Step2:キャリアコンサルティングの予約・受講(事前準備)
専門実践教育訓練給付の申請のためには、受講前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります。このキャリアコンサルティングは、「キャリア形成リスキリング相談コーナー」を利用すると無料で受けることができます。ただし、面談は完全予約制となっており、事前の申し込みが必須です。
面談の際には、自分の職歴やスキル、将来のキャリアプランを整理するためのジョブ・カードを作成します。このジョブ・カードをもとに、キャリアコンサルタントが受講予定の講座が適しているかを確認し、受講に妥当性があると判断された場合には「受講に適している旨の評価・助言書」が交付されます。この書類がないと、次のステップである受給資格確認申請を行うことができません。

どんなキャリアであっても基本的には「受講に適している」と評価されます。
心配せずにリラックスして受講しましょう。
ジョブ・カードの作り方については、厚生労働省の「ジョブ・カードをつくる」を参考にしてください。
キャリアコンサルティングは一部の窓口でオンラインでも受講が可能です。対面での相談が難しい方や、地方在住で近くに相談窓口がない方でも、自宅から受講することができます。オンライン対応の有無は、利用予定の相談窓口に事前に確認しておくと安心です。
キャリアコンサルティングの受講は、「本当にこの講座が自分のキャリア形成に適しているか?」を確認する大切なステップです。申請をスムーズに進めるためにも、早めに予約を取り、オンライン・対面いずれの方法でも計画的に進めましょう。
Step3:受給資格確認申請(講座開始の14日以上前までに行う)
- 必要な書類:
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
- ジョブ・カード
- 本人確認書類
- マイナンバー確認書類
- 写真2枚
- 払い渡し希望の金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 注意点:受講開始の14日前までに必ず申請が必要。
受講開始の14日前までにハローワークで「受給資格確認申請」を行います。この申請がなければ給付は受けられませんので、必ず期限を守って手続きを行いましょう。
専門実践教育訓練給付金を受け取るには、講座の受講を開始する前に、ハローワークで「受給資格確認申請」を行う必要があります。申請なしで受講を開始してしまうと、給付金を一切受け取れなくなってしまいます。申請期限は、講座開始日の14日前まで。手続きにはいくつかの書類が必要になるため、余裕を持って準備しましょう。
参考 雇用保険業務取扱要領58233
必要書類一覧
- 教育訓練給付金および教育訓練支援給付金受給資格確認票
ハローワークで配布される申請用紙。窓口またはウェブサイトから事前に入手可能。 - ジョブ・カード
キャリアコンサルティングを受けたうえで作成する必要があります。(※「キャリア形成リスキリング相談コーナー」で無料相談+ジョブ・カード作成が可能) - 本人確認書類
運転免許証、パスポートなど。氏名・生年月日・住所が確認できるもの。 - マイナンバー確認書類
マイナンバーカード、または通知カード+本人確認書類のセット。 - 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
申請書に貼付する証明写真。最近撮影したものを使用しましょう。 - 金融機関の通帳またはキャッシュカード
給付金の振込先口座の確認のために使用します。口座名義は申請者本人に限ります。
※ 書類の様式や内容は変更されることがありますので、事前にハローワークで確認しましょう。
教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票

本人確認書類
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 官公署が発行するその他の顔写真付きの身分証明書(在留カードや障害者手帳など)
- 各健康保険の被保険者証(いわゆる保険証)
- 住民票記載事項証明書(いわゆる住民票)
- 年金手帳
- 官公署が発行するその他の身分証明書(児童扶養手当証書など)
注意点:申請は“必ず”受講開始の14日前までに
「気づいたら期限を過ぎていた」「受講申し込みに夢中で申請を忘れていた」というケースは少なくありません。受講前の申請がないと、受講しても給付金の支給対象外になってしまいます。対象講座が決まったら、すぐにハローワークへ相談に行くようにしましょう。
キャリアコンサルティングの受講が前提
前出のとおり、申請を行うにはジョブ・カードの作成と、キャリアコンサルティングの受講が必要です。このキャリアコンサルティングは、「キャリア形成リスキリング相談コーナー」で無料かつ予約制で受けることができます。オンライン対応も行っているため、忙しい方でも受講しやすくなっています。
受講前申請を行う前に、必ずジョブ・カードの作成とキャリアコンサルティングの受講を済ませておきましょう。
Step4:教育訓練講座の受講中に半年に1回申請を行う
半年に1度、以下の必要書類をハローワークに提出し、入学金・受講料の50%分の受給申請を行います。
- 必要書類
- 教育訓練給付金(第101条の2の7第4号関係)支給申請書
- 教育訓練給付金受給資格者証
- 受講証明書
- 領収書(入学金・受講料の支払い証明)
- 教育訓練経費等確認書
- (該当者のみ)返還金明細書
専門実践教育訓練給付制度では、講座の受講期間中に入学金・受講費の50%が分割で支給されます。ただし、自動的に振り込まれるわけではなく、6ヶ月ごとに自分で申請を行う必要があります。
この申請により、入学金や授業料などのうち、最大年間40万円(3年で120万円)が段階的に支給されます。手続きを忘れてしまうとその期の給付を受けられない可能性がありますので、ご注意ください。
参考 雇用保険業務取扱要領58240ー58250
必要書類や提出物
申請の際は、以下の書類をハローワークに提出します:
- 教育訓練給付金(第101条の2の7第4号関係)支給申請書
講座の指定教育訓練実施者(学校)から6ヶ月ごとに交付されます。ハローワーク窓口で交付、またはハローワークインターネットサービスからダウンロードも可能です。 - 教育訓練給付金受給資格者証
受講前に行った「受給資格確認申請」後にハローワークから交付されます。 - 受講証明書
出席率や成績など、所定の受講認定基準を満たしていることを証明する書類です。指定教育訓練実施者(学校)が発行します。 - 領収書(入学金・受講料の支払い証明)
入学金・授業料などの支払いを証明する原本が必要です。指定教育訓練実施者(学校)が発行します。コピー不可の場合が多いので注意しましょう。 - 教育訓練経費等確認書(専門実践訓練版)
講座ごとの経費の明細を確認するための書類で、指定教育訓練実施者(学校)から提供されます。学校から提供されなければハローワーク窓口でもらいましょう。 - (該当者のみ)返還金明細書
支払い済の入学金・受講料が学校から返還された(学校に支払う費用が少なくなった)場合に必要です。
教育訓練給付金(第101条の2の7第4号関係)支給申請書

教育訓練給付金受給資格者証


教育訓練経費等確認書


申請にあたっての注意点
- 当初の受講修了予定日に修了出来なくなった場合(留年など)、以降の給付を受けられなくなります。 特に専門職大学院や夜間講座でも、一定の学業進捗が求められます。無断欠席や中途退学には注意しましょう。
- 申請書類の保管が非常に重要です。 入学時や各期の授業料を支払った領収書などは、申請時に原本の提出が求められるケースが多く、紛失すると給付申請できない場合があります。学校からもらう書類は失くさないよう大切に保管しましょう。
スムーズに申請するために
申請時期に余裕を持って準備を進め、ハローワークの窓口で確認しながら申請するのがおすすめです。また、スマホやノートなどで「いつ申請するか」をあらかじめ記録しておくと申請モレが防げます。
このように、6ヶ月ごとの申請は制度活用の重要なポイントです。必要な書類をしっかり管理し、スケジュールに沿って手続きを進めましょう。
Step5:受講修了後、各種条件を満たせば追加給付の申請を行う
専門実践教育訓練給付では、講座の受講費用の最大50%が支給される基本給付に加え、一定の条件を満たすことで、さらに20%の追加給付を受けることができます。
- 追加支給の条件:
- 一定期間内に資格を取得
- 雇用保険に加入する(週20時間以上の仕事)
- 必要書類
- 教育訓練給付金(第101条の2の7第5号関係)支給申請書
- 教育訓練給付金受給資格者証
- 資格取得したことの確認書類
- 教育訓練経費等確認書
- (該当者のみ)返還金明細書
- 支給内容:受講費用の20%を上乗せして支給される(上限あり)
講座を修了後、指定の資格試験に合格し、雇用保険に加入する条件で就職をした(就職している)場合は、追加で20%(最大48万円)の給付を受けることができます。これは、資格の取得や就職によって実際にキャリアアップにつながった場合に、国がその成果を後押しする目的で設けられている制度です。
参考 雇用保険業務取扱要領58251ー58260
追加給付の条件とは?
以下の条件をすべて満たす必要があります
- 講座修了後、一定期間内に資格を取得していること
対象講座に対応した国家資格・公的資格などに合格する必要があります。対象の資格や受験が必要な試験日については、学校またはハローワークで確認しましょう。 - 週20時間以上の雇用保険加入の対象の就職をしていること
パート・契約社員でも雇用保険に加入していれば対象になります。雇用保険に加入する就職であれば、教育訓練受講前から雇用されていても対象になります。
必要書類一覧
申請にあたっての必要書類は以下の4点
- 教育訓練給付金(第101条の2の7第5号関係)支給申請書
講座を実施した教育機関から交付される申請書です。ハローワーク窓口で交付、またはハローワークインターネットサービスからダウンロードも可能です。 - 教育訓練給付金受給資格者証
受講前にハローワークで受給資格確認を行った際に交付される書類です。 - 資格取得を証明する書類
合格証明書や合格通知書など、資格を取得したことがわかる正式な書類が必要です。合格証などを提出しますが、資格取得後に登録が必要な資格の場合は必ず登録証の提出が必要になります。(看護師や社会福祉士、キャリアコンサルタントなど) - 教育訓練経費等確認書
講座ごとの経費の明細を確認するための書類で、指定教育訓練実施者(学校)から提供されます。学校から提供されなければハローワーク窓口でもらいましょう。 - (該当者のみ)返還金明細書
支払い済の入学金・受講料が学校から返還された(学校に支払う費用が少なくなった)場合に必要です。
教育訓練給付金(第101条の2の7第5号関係)支給申請書

具体的な支給額
項目 | 内容 |
---|---|
基本給付 | 受講費用の50%(年間上限40万円) |
追加給付① | 資格取得+就職で、さらに20%(年間上限16万円) |
合計で最大70%(年間上限56万円)が支給されます。
🔎 注意点とアドバイス
- 就職・資格の「2つの条件」が必要になるため、早い段階からプランを立てて行動することが重要です。資格試験の日程や結果発表までに時間がかかる場合もあるため、余裕をもって準備しましょう。
- 追加給付のための資格試験のチャンスは1回だけです。講座の修了時点で対象の試験日が決定します。その試験日以外の受験で合格しても追加給付の対象にはなりません。
- 雇用保険に加入する(加入している)就職であることが条件です。資格を取得しても、非正規雇用などで雇用保険に加入していない場合は対象外となります。
- 講座の分野と異なる職種に就職しても対象になります。
Step6:(令和6年10月以降)賃金が5%以上上昇でさらに追加給付
令和6年10月1日以降に専門実践教育訓練の受講を開始した方を対象に、受講修了後に賃金が5%以上上昇していることが確認された場合、さらに10%の追加給付制度が設けられています。給付上限は年間8万円、最大24万円(訓練期間が2年以上の場合)です。
- 追加支給の条件
- 資格取得+就職の追加20%の給付対象になっている
- 訓練開始前から訓練修了後の賃金が5%以上上昇している
- 必要書類
- 教育訓練給付金(第101条の2の7第6号関係)支給申請書
- 教育訓練支援給付金受給資格者証
- 賃金台帳または給与明細の写し
- 出勤簿またはタイムカードの写し
- (該当者のみ)返還金明細書
- 支給内容:受講費用の10%を上乗せして支給される(上限あり)
訓練修了前後で賃金が5%以上上昇していることを証明する書類を、自分で用意する必要があります。比較する賃金は、一時的な手当や賞与ではなく、基本給等の「安定的な賃金」が対象となります。非正規雇用や短時間勤務の方は、時間当たり賃金で換算して判断されるケースもあるため、勤務形態にかかわらずチャンスがあります。
この追加給付制度を活用すれば、学び直しの成果が給与というかたちで表れた際に、さらに経済的支援を受けることができます。訓練後のキャリアアップや転職後の年収アップを見込んでいる方は、必ずチェックしておきましょう。
制度の内容はやや複雑で、細かい要件や時期のズレなどによって対象外になることもあります。確実に給付を受けたい方は、講座受講前に必ずハローワークに相談しましょう。
参考 雇用保険業務取扱要領58261-1ー58260‐9
10%追加給付の条件とは
以下のすべての条件を満たす必要があります。
- 資格取得+就職の追加20%の給付対象になっていること
受講修了し、通常の50%給付と資格取得+就職で追加20%給付の両方の支給対象になっていること。 - 賃金が5%以上上がっていること
訓練修了後6か月分の平均賃金が受講前と比べて105%以上になっていること。
必要書類
追加10%の給付申請の必要書類は以下の4点
- 教育訓練給付金(第101条の2の7第6号関係)支給申請書
講座を実施した教育機関から交付される申請書です。ハローワーク窓口で交付、またはハローワークインターネットサービスからダウンロードも可能です。 - 教育訓練支援給付金受給資格者証
教育訓練支援給付金も受けていた場合に必要です。 - 賃金台帳または給与明細の写し
・訓練開始前6か月分
・就職または資格取得後の連続6か月分
の両方が必要になります。訓練開始前の期間分については、離職票の提示で省略できることもあります。 - 出勤簿またはタイムカードの写し
・訓練開始前6か月分
・就職または資格取得後の連続6か月分
の両方が必要になります。訓練開始前の期間分については、離職票の提示で省略できることもあります。 - (該当者のみ)返還金明細書
受講料が一部返金された場合に提出します。支給額が調整されることがあります。
教育訓練給付金(第101条の2の7第6号関係)支給申請書(両面)


💰 賃金上昇の確認方法
賃金の上昇は、以下2つの金額を比較して判断します。
比較対象 | 内容 |
---|---|
A(就職後) | 就職または資格取得後1年以内の連続6か月分の賃金合計 ÷ 180 |
B(受講前) | 受講開始前または離職前の6か月分の賃金合計 ÷ 180(日額換算) |
→ Aの金額がBの105%以上であれば、条件クリアです。比較は必ず日額に換算して行われます。詳細な算定ルールはやや複雑なので、確実な計算を希望する方は、ハローワーク窓口で相談しましょう。
申請にあたってのポイント
- 賃金上昇の判断基準は「連続6か月の平均賃金」で行われます。
- 訓練受講前2年間に、雇用保険に加入する仕事をしていない場合は対象になりません。
- 賃金上昇の証明書類は、早いうちに会社にお願いしておきましょう。
事前にハローワークで要件確認と相談を行っておくと、安心して申請を進めることができます。

申請できるまでの期間が長く、準備する書類も多くなります。
忘れないように、メモ機能などを使ってしっかり管理しておきましょう。
専門実践教育訓練給付金制度を利用するメリットと注意点

専門実践教育訓練給付金制度は、メリットが非常に大きい反面、条件や手続きも複雑な制度です。制度のしくみを正しく理解したうえで、積極的に活用していきましょう。メリット・注意点をまとめると、以下のとおりです。
メリット
注意点
✅️メリット1:最大80%の費用補助(年間最大64万円)
- 受講費の50%に加え、「資格取得+雇用実績」で20%、さらに「賃金5%以上の上昇」で10%が支給され、8割負担軽減が可能です。
- 高額な専門講座(MBA、看護学校、プログラミングスクールなど)でも、自己負担を大幅に抑えて受講できます。
✅️メリット2:離職中・在職中どちらでも利用可能
- 現在働いている人も、転職活動中の人も対象です。副業・転職準備の学び直しにも使える柔軟な制度です。
- 在職中に利用する場合は、勤務先と講座スケジュールの調整を忘れずに行いましょう。
- 離職してから受講する場合は、必ず離職後1年以内に受講開始しましょう。
✅️メリット3:夜間・通信制の講座も対象になる
- すべての講座ではありませんが、厚生労働省が指定している講座には夜間・通信課程も多く含まれています。
- 対象講座検索サイトで「通信制」や「夜間」などの条件指定で検索するのがおすすめです。
✅️メリット4:複数回の利用も可能
- 一定条件を満たせば、3年の間隔を空けて2回目以降の受給も可能です。
- キャリアチェンジや段階的なスキルアップにも対応できるため、長期的な学び直し計画にも有効。
✅️メリット5:資格やスキルに直結した実践的な講座が多い
- 対象講座の多くが「就職や再就職に結びつきやすい」実務的内容です(看護師、保育士、鍼灸師、IT系など)。
- 資格取得後の就業を支援する「就職実績」データが公開されている講座もあり、比較検討しやすくなっています。
⚠️注意点1:申請は必ず「講座開始14日前」までに行う必要がある
- 事前申請がないと給付対象外です。申請せずに受講を始めてしまった場合、後からは一切対応してもらえません。
- 講座申込と同時に、キャリアコンサルティングの予約を行い、キャリアコンサルティングの受講当日にハローワークで受給資格確認申請を行うやり方が安心。
⚠️注意点2:雇用保険の加入期間などの条件を満たす必要がある
- 原則として、通算3年以上の雇用保険被保険者期間(初回は2年以上)が必要です。
- 雇用保険に加入しているかの確認方法を参考に、対象かどうかを必ず確認しましょう。
⚠️注意点3:最大支給率を受けるには「資格取得+就職」「5%以上の賃金上昇」が必要
- ただ講座を終えるだけでは、最大80%の支給はされません。「修了+試験合格+就職」「5%以上の賃金上昇」という条件をすべて満たす必要があります。
- 離職して学校に通う方は、資格取得後の就職活動もセットで計画することが重要です。
⚠️注意点4:講座ごとに給付対象であるかの確認が必要
- 「資格名」や「学校名」だけでは対象かどうか分からないため、必ず講座単位で給付対象かを確認する必要があります。
- 事前に厚労省の「教育訓練講座検索システム」で講座単位の指定状況を確認しましょう。
- 具体的な検索方法についての詳細は、対象講座の検索方法の記事も参考にしてください。
⚠️注意点5:支給は一括ではなく分割され、先に全額負担する必要あり
- 受講中の支給は6ヶ月ごとに分割して行われます。途中で退学・中断した場合、以降は支給されません。
- 給付されるのは受講開始後になるため、入学金・受講料を先に自身で全額負担する必要があります。
- 途中での離脱を避けるためにも、学習計画・生活設計をしっかり立てておきましょう。
制度の利用をオススメする人

専門実践教育訓練給付制度の利用は、こんな人にオススメです。
- 転職を見据えて資格を取得したい社会人
- スキルアップして副業やフリーランスを目指す人
- ブランクからの復職を考えている人
- 育児・介護の区切りで、再就職に備えたい人
転職を見据えて資格を取得したい社会人
専門実践教育訓練給付は、国家資格や実務に役立つスキルが学べる講座が対象のため、転職活動で「即戦力」としてアピールできる武器になります。たとえば、介護福祉士や保育士、IT系資格などは人材ニーズも高く、資格取得後の就職成功率も高いです。
就職が決まれば、給付額が最大70%まで増えるのも大きな魅力です。転職を見据えて資格を取得したい社会人の方は、ぜひ制度利用を検討してみてください。
スキルアップして副業やフリーランスを目指す人
Webデザイン、プログラミングなどの「副業・フリーランスで活かせる資格」も制度の対象となっています。働きながら通える夜間・オンライン講座もあるため、会社員として働きながら新たな収入源づくりに挑戦するのに相性が良く、自己投資の費用負担を軽減できる点が大きな魅力です。
会社員としての働き方だけでなく、副業やフリーランスを目指す人も制度の利用を視野に入れてみてください。
ブランクからの復職を考えている人
結婚・出産・介護などで離職していた方にとって、資格やスキルの取得は「再就職への自信」につながります。専門実践教育訓練は実務に即した内容が多く、職場復帰後もすぐに活かせるスキルが学べます。講座によっては託児付きやオンライン対応もあるため、家庭と両立しやすく、子育て中の方にもやさしい制度です。
ブランクからの復職を考えている方も、ぜひ制度を活用し、有利に就職活動を進めていきましょう。
育児・介護の区切りで、再就職に備えたい人
「子育てがひと段落」「介護が落ち着いた」など、人生の再スタートを考えるタイミングでの学び直しにも、専門実践教育訓練給付制度は最適です。これから先の働き方を見直す中で、国家資格の取得や安定職への就職を目指すことができるのは、将来への安心感にもつながります。時間やお金の面で学び直しをあきらめていた人にとって、心強い支援制度になります。
まとめ:制度を活用して、未来の選択肢を広げよう
以上、専門実践教育訓練給付金制度について、以下の3点から解説しました。
- 専門実践教育訓練給付金制度とは(メリットや注意点)
- 専門実践教育訓練給付金制度の申請手続きの流れ
- 制度の利用をオススメする人
まとめると以下のとおり。
専門実践教育訓練給付金制度とは、社会人の「学び直し=リスキリング」やキャリアアップ、転職支援を目的とした制度で、厚生労働省が定めた教育訓練講座を受講した場合に、受講費用の最大80%(上限64万円/年)を支給してくれる制度です。
制度を利用するための条件は以下の3つ。

「自身が雇用保険に加入しているか」「受けたい講座が教育訓練給付の対象講座か」など、事前の準備が大切になります。
申請から支給されるまでの流れは以下のとおり。
- 受講する教育訓練対象講座を見つける
- キャリアコンサルティングを受ける
- 受給資格確認申請(講座開始の14日以上前までに行う)
- 教育訓練講座の受講中に半年に1回申請を行う
- 受講修了後、資格取得・就職で追加給付の申請を行う
- (令和6年10月以降)賃金が5%以上上昇でさらに追加給付の申請

最大80%の還付を受けるためには、教育訓練修了後も申請手続きが続きます。
一つずつ確認し、準備しながら進めていきましょう。
専門実践教育訓練給付金制度は、条件や手続きが複雑な制度ですが、その分メリットもたくさんあります。離職中・在職中どちらでも利用可能ですし、対象の講座は資格やスキルに直結した実践的なものが多くなっています。
以下に当てはまる方には、ぜひともオススメしたい制度です。
- 転職を見据えて資格を取得したい社会人
- スキルアップして副業やフリーランスを目指す人
- ブランクからの復職を考えている人
- 育児・介護の区切りで、再就職に備えたい人
「学びたいけど、お金がネック」——そんな悩みをサポートしてくれるのが、専門実践教育訓練給付金です。条件さえクリアすれば、数十万円〜100万円以上の給付を受けながら、安心して学ぶことができます。
まずは自分が対象かどうか、ハローワークに相談してみることから始めてみましょう。条件をしっかり確認しながら、賢く制度を使って、自分らしいキャリアを築いてください。
実りある職業人生になることを祈っております。最後までご覧いただきありがとうございました。
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