この記事の想定読者
- 失業保険を申請するまでにアルバイトをしたい方
- 失業保険申請前にアルバイトをしたらどうなるか知りたい方
失業保険申請までに期間があるし、アルバイトでもしようかな~
なにか注意点はある?
申請前であればそこまで気にしなくて大丈夫です。
ただ、働く時間はなるべく週20時間未満にしておく方がいいですよ。
会社を退職後、失業保険を申請するまで、書類の準備等で2~3週間かかることが多いです。
その期間がもったいなく感じ、失業保険申請前にアルバイトをする方が一定数いらっしゃいます。
失業保険申請前にアルバイトをしても、失業保険の申請・受給は可能です。
ただし、以下の点に注意が必要です。
なお、失業保険をもらいながら就職活動を進めていくことを第一に考えるのであれば、失業保険の申請前であっても、週20時間未満の雇用契約で働くことをオススメします。
この記事では、失業保険申請前のアルバイトについて、以下の3点から解説します。
- 働いても受給可能か
- 働く際の注意点
- ハローワークへの申告方法
分かりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
※ この記事では、ハローワーク職員が雇用保険業務を行うにあたって、ルールブックになる雇用保険業務取扱要領に基づいて解説します。
ルールを知ると安心感が増しますので、ぜひ皆様も見てみてください↓
参考 雇用保険に関する業務取扱要領(令和5年8月1日以降) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
失業保険申請前にアルバイトをしても受給は可能
失業保険申請前にアルバイトをしても、失業保険の申請&受給は可能です。
ただし、条件が1つだけあります。
参考 雇用保険業務取扱要領50102(2)、51255(5)
なお、ここでいう
失業状態とは、「自営業や週20時間以上の仕事をしておらず、週20時間以上の仕事を探しており、自分にあった仕事が見つかれば働ける状態」のことを言います。
という状態です。
申請時点・申請後は、アルバイトは週20時間未満に抑えて、
週20時間以上の仕事を探しましょう。ということです。
失業保険申請前のアルバイトの注意点
失業保険申請前にアルバイトをする場合、アルバイトの契約の種類・1週間当たりの働く時間 で注意点が変わります。
パターンとしては以下の3種類
- 週20時間未満で働く場合
- 週20時間以上働く場合
- 自営業の場合
以下で細かく見ていきます。
週20時間未満で働く場合
週20時間未満でアルバイトをしている場合は、特に注意点はありません。
前出のとおり、申請時点・申請後においては失業状態が必要である。ということだけは注意してください。
申請前のアルバイトを申請後も継続していても、週20時間以上の仕事を探すのであれば失業保険を受給することが出来ます。
「週20時間未満のアルバイトをしてるので、週20時間以上の仕事を探しません。」となると、失業状態ではなくなり、失業保険の受給は出来なくなります。
ご注意ください。
週20時間以上で働く場合
週20時間以上で働く場合は、以下の2点に注意が必要です。
- 申請時点で週20時間未満にしないと申請不可
- 15日以上働くと追加で離職票が必要になる
なお、冒頭でお伝えした通り、失業保険をもらいながら就職活動を進めていくことを第一に考えるのであれば、以下の理由から、失業保険の申請前であっても、週20時間以上で働くことはオススメしません。
申請時点で週20時間未満にしないと申請不可
週20時間以上で働いている状態は就職状態とみなされます。
申請時点・申請後は失業状態でないと失業保険の対象になれませんので、申請日当日までに働く時間を週20時間未満に抑える必要があります。
参考 雇用保険業務取扱要領50102(2)ロの(ホ)、51255(5)
また、申請前のアルバイトで働いていた会社で雇用保険加入の手続きをしていた場合は、申請日までに雇用保険喪失の手続きが必要になります。
要は、手間が増えますよ ということです。
なお、申請日時点で喪失の手続きが完了していなくても、喪失日(雇用保険を抜けた日)が申請日より前の日付になっていれば申請に問題はありません。
この雇用保険加入・喪失の手続きは、働いている会社の人事・総務担当の方が行います。
スムーズに手続きが進むよう、あらかじめ伝えておくとよいでしょう。
15日以上働くと追加で離職票が必要になる
失業保険の申請には、離職票という書類が必要になります。
この離職票は、雇用保険を抜ける手続きとともにハローワークで発行され、会社から郵送または手渡しで退職者の手元に届きます。
失業保険申請前に週20時間以上働き、それが15日以上続くと、失業保険の申請に当たってそのアルバイト先の離職票が追加で必要になる可能性があります。
参考 雇用保険業務取扱要領50104(4)
このときの考えられるデメリットは以下の2つ
- 手続きが遅くなる可能性がある
- 離職理由が直近のアルバイト先の離職理由に変わる
まず、手続きに必要な書類が増えるので、申請から給付までスムーズにいかなくなる可能性があります。
直近のアルバイト先の離職票の発行が遅いと、
給付が2週間~1か月ほどずれ込むこともあります。
また、離職理由の判定は一番直近の離職票を元に行うため、追加で提出が必要な離職票の離職理由によって、給付日数や給付制限期間の有無が判定されてしまいます。
参考 雇用保険業務取扱要領50104(4)イ、ロ
アルバイトをしなければ会社都合のままだったのに、アルバイトをしたために自己都合退職になった
ということがあります。
この可能性については特に注意してください。
なお、週20時間以上のアルバイトを、自らの申し出で週20時間未満にしてもらった場合、自己都合退職の扱いになります。
もちろん、自身からの申し出でアルバイト先を退職した場合も、自己都合退職の扱いになります。
自営業の場合
自営業で働く場合は、以下の3点に注意が必要です。
- 申請後は週20時間未満でしか働けない
- 自営に専念する場合は申請不可
- 法人役員になっている場合は原則申請不可
申請後は週20時間未満でしか働けない
ここは通常のアルバイトなどの雇用契約で働く場合と同じです。
自営業であったとしても、週20時間以上働く場合は就職状態とみなされ、失業保険の対象ではなくなります。
参考 雇用保険業務取扱要領51255(5)イの(ホ)
失業保険を受給したいときは、契約内容によらず働く時間を週20時間未満に抑えておいてください。
自営に専念する場合は申請不可
週20時間以上の雇用関係の仕事を探さず、自営業に専念する場合は失業保険の申請は出来ません。
参考 雇用保険業務取扱要領50102(2)ロの(ニ)、51255(5)イの(ト)
この場合、週20時間未満しか活動していなくても失業保険の申請は出来ません。
自営業を視野に入れている方は注意してください。
なお、週20時間以上の仕事を探すのか自営業に専念するかの線引きは、各ハローワークによって微妙な解釈の違いがあります。
自身の活動が自営業に専念に当たるかは、管轄のハローワークに確認してください。
実際に、失業保険申請前に自営業で働くとなると、個人事業主として働く方が多いと思います。
このときは特に開業届の取り扱いについて、しっかりと管轄ハローワークに確認しておきましょう。
法人役員になっている場合は原則申請不可
法人役員になっている場合は、就職状態とみなされて失業保険の申請が出来ません。
参考 雇用保険業務取扱要領51255(5)ロの(チ)①
ただし、
- 非常勤の取締役・監査役等で
- ほとんど活動しておらず
- 1日当たりの報酬が1,000円程度
であれば、その旨の申し出を行うことで失業状態とみなされ、失業保険の申請が可能になる場合があります。
親族経営のいわゆる「名ばかり役員」のときは、ハローワークにその申告をしましょう。
私が窓口のときも、これに該当して、法人役員の地位を継続しながら失業保険の申請が出来た方がいらっしゃいました。
なお、代表取締役(≒社長)の場合は、通常の会社役員と違い、全く活動をしていなくても申請は不可能です。
参考 雇用保険業務取扱要領51255(5)イの(ト)
一部例外はありますが、代表取締役の間は絶対に失業保険の申請が出来ない。
と覚えておいてください。
失業保険申請前のアルバイトの申告方法
失業保険申請前にアルバイトをしたときは、どこかに言わないとダメなの?
失業保険申請時に、ハローワークの窓口で申告が必要になります。
失業保険申請前にアルバイトを行ったとき、失業保険の申請時にハローワークの窓口で申告が必要になります。
窓口では以下の2点を申告してください
- 申請前にアルバイトをしていた事実
- 以後アルバイトを続けるかどうか
このとき、アルバイト先でもらえる雇用契約書や労働条件通知書があると、手続きがスムーズに進みます。
雇用契約書や労働条件通知書は、大手企業であれば働く前にもらえることが多いですが、規模の小さい企業ではもらえないことが多いです。
それでも、自身の身を守るためにも、出来れば働く前、遅くとも働いてから1か月以内にはもらえるように交渉しておきましょう。
個人的な意見ですが、ここで「そんなものは無い」「今まで出したことがない」「なぜそんなものが必要なのか」といった回答の企業は、他の手続きもぐずぐずなことが多いです。
あまり働くことをオススメしません。
まとめ(締め)
以上、失業保険申請前のアルバイトについて解説しました。
まとめると以下のとおり。
失業保険申請前にアルバイトをしても、失業保険の申請・受給は可能
ただし、以下の条件があります。
申請前アルバイトは、以下の3つのパターンに分けられます。
- 週20時間未満で働く場合
- 週20時間以上働く場合
- 自営業の場合
それぞれの注意点は以下のとおり
- 特になし
- 申請時点で週20時間未満にしないと申請不可
- 15日以上働くと追加で離職票が必要になる
- 申請後は週20時間未満でしか働けない
- 自営に専念する場合は申請不可
- 法人役員になっている場合は原則申請不可
以上から、失業保険をもらいながら就職活動を進めていくことを第一に考えるのであれば、失業保険の申請前であっても、週20時間未満の雇用契約で働くことをオススメします。
失業保険は、申請から実際に支給されるまで結構時間がかかります。
退職後の生活設計をしっかりと練り、スムーズに転職が行えるよう計画を立てて行動しましょう。
実りある転職になるよう祈っております。
失業保険とアルバイトの関係について、もっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にして下さい↓
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