返還しないといけない?再就職手当受給後にすぐ会社を辞めてしまったときの手続きについて

雇用保険制度
この記事の想定読者
  • 失業保険受給中で就職先が決まったが失業保険をもらえなくなるのが不安な方
  • 早期就職して再就職手当をもらったが1年経過前に辞めようか迷っている方
  • 再就職手当をもらった後にすぐ退職し失業保険の手続きがわからない方

失業保険の申請後、早期に就職が決まると再就職手当がもらえます。再就職手当をもらった後に、短期で会社を辞めてしまったらどうなるのか。以下の2点がポイントです。

  • 再就職手当は返還しないといけないのか
  • 失業保険はもう一度もらえるのか

結論、再就職手当は返還不要、受給期限内であれば、残っている失業保険の受給再開が可能になります。これは、再就職手当をもらっていない方も同じ対応になります。

この記事では、再就職手当をもらった後に会社を早期退職してしまった場合の失業保険の手続きについて、以下の3点から解説します。

  • 再就職手当とは
  • 再就職手当受給後に短期で離職してしまった場合の対応
  • 失業保険の受給再開手続きについて

ぜひ最後までご覧ください。

この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓

雇用保険に関する業務取扱要領(令和5年8月1日以降) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

再就職手当とは

再就職手当とは、失業保険受給者が早期に安定した仕事に就くことを促進するための給付金です。再就職手当の受給条件をまとめると以下のとおり。

  • 失業保険受給申請後の受給期間中に
  • もらえる日数を最低3分の1日以上残した早期の状態で
  • 1年以上の雇用の見込みのある安定した職業に就くこと

なお、不正な受給を防ぐため以下の条件を設定しています。

  • 失業保険受給申請する前から内定をもらっていたところではない
  • 退職前の会社の関連会社ではない
  • 過去3年以内に再就職手当をもらっていない
  • 自己都合退職の場合、給付制限の最初の1か月までは自分で見つけたところ(知り合いの会社など)の就職ではない

もらえる金額の計算は以下のとおり。

もらえる最大日数の3分の2以上を残しての再就職

 残っている日数 × 1日あたりの失業保険の金額 × 70%

もらえる最大日数の3分の1以上3分の2未満の再就職

 残っている日数 × 1日あたりの失業保険の金額 × 60%

再就職手当の制度について、詳細は以下の記事を参考にしてください↓

早期に離職してしまった場合でも返還不要

再就職手当などの就職促進給付は、失業保険を受けている人の早期の就職を応援するための給付です。早期の就職を達成した時点で目的を達しているため、返還の必要がありません。

そうなの?なんだか得した気がするなあ~!

ファスタ
ファスタ

結局もらえる金額は変わりませんので、得はしません。

再就職手当を受給後に再度失業して失業保険をもらう場合、就職せずずっと失業状態であった場合と比べても、もらえる金額は変わりません。

再就職手当として先にまとめてもらうか、失業保険として後でゆっくりもらうかの差でしかないのです。

以下で実際の給付例を見ていきます。

実際の給付例

例 最大給付日数90日の人が一度も給付を受けずに再就職した場合

  90日×70%(再就職手当の支給率)=63日分 を再就職手当として受給。

  再就職先を退職し、失業保険を再度受給する手続きをする。

  そのときにもらえる給付の最大日数は、

  90日(元々の最大日数)-63日(再就職手当としてもらった日数) = 27日分がもらえる上限

あ!結局もらえる上限の日数(金額)は変わらないのか!

ファスタ
ファスタ

そう!失業状態が続けば、最終的にもらえる金額は変わらないんだ。

こういった給付の制度は、制度設計をするにあたって、どうしても不正受給を防ぐためのルールを設定しないといけません。

・再就職手当をもらってから退職しても、その後に失業状態が続くのであればもらえる金額の上限は変わらない

・再就職手当は一度もらうと3年間は新たにもらえない

上記のように、再就職手当を受給後に早期に退職しても不正受給の恐れがないので、こういった理由からも返還の必要がないのです

失業保険の給付の再開

一度申請した失業保険の受給期間内であれば、再就職後に退職してしまった場合、失業保険の受給を再開できます。(再就職手当をもらっていても、もらっていなくても)

ただし、支払われる日数(金額)は再就職手当を支払ったあとの残りの分のみになります。

(再就職手当をもらっていなければ、前回受給の途中までに残っている分になります)

出典:厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~

Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~

もちろん、就職までにすべて失業保険をもらいきっていれば、新たに受給資格※が発生してないと失業保険はもらえません。

 6か月以上働いて、会社都合の退職や病気離職などのやむをえない退職の場合など

実際の手続き

必要書類

・雇用保険受給資格者証

・退職と退職日の確認ができる証明書

受給の再開の手続きは、

会社を退職後、必要書類を持って退職日の翌営業日以降にハローワークの窓口に離職の申し出を行う

といった流れになります。

必要書類を持って、窓口に申し出た日から受給が再開されます。

退職の証明書について

必要書類の退職と退職日の確認ができる書類について、

  • 再就職先で雇用保険加入の退職であれば、「離職票」がその証明書になります
  • 雇用保険加入の退職であれば、「離職状況証明書」がその証明書になります

「離職票」は退職後に会社が発行するものですが、早期の退職の場合は労働者からの申し出がないと会社側は自分から進んで発行しないことがあります。必ず退職時に会社の事務の方に頼んでおきましょう。

「離職状況証明書」は初めに失業保険の受給の手続きをハローワークでした際に、窓口でもらった冊子「雇用保険受給資格者のしおり」の後ろについていることが多いです。

もしついていないときは、窓口でもらうか、以下から別様式をダウンロードして使ってみてください。退職日・退職の確認ができて、会社の証明があれば基本はどんな様式でも大丈夫です。

13 退職証明書.doc (mhlw.go.jp)

出典:厚生労働省(退職証明書)

手続きは早めに

給付再開の手続きは退職後早めに済ませてしまいましょう。

申し出が遅かったために、本来もらえたものがもらえない…なんてことがよくあります。(そしてそれが原因で窓口でもめることも…)

失業保険の手続きすべてにいえることですが、原則窓口で申し出があってからがスタートになります。

申し出がない期間は受給の対象になりませんし、あとで申し出たからといってさかのぼって受給することはできません。

常に早めの手続きを意識しておきましょう

まとめ

以上、雇用保険を受給中に再就職し、再就職手当をもらったあとに再度離職してしまった場合の手続きについて解説しました。

せっかく決まった再就職先を早々に離職することになってしまうと、気持ちが焦ってしまいますよね…

焦って決めた就職先は合わないことが多いです。再度早期離職にならないためにも、失業後のセーフティネットについてしっかりと理解し、落ち着いて相性のいい再就職先を探しましょう!

実りある転職になるよう祈っております。最後までご覧いただきありがとうございました。

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