この記事を見られている方は、老後に向けて投資や資産運用を行っていたり、または趣味で投資を行っている方だと思います。
「定期的な収入があると失業保険はもらえない」
「失業保険受給中に収入がある場合は、失業保険の金額が調整される」
こういった話や噂を周りから聞くことがあると思いますが、結論から申し上げますと失業保険受給中に投資で収入を得ても、失業保険は受給出来ます。
この記事では、失業保険受給中の投資で得る収入について以下の3つについて解説します。
- 失業保険受給中に投資で収入を得てもいいのか
- 投資で収入を得ることで失業保険がもらえなくなる状態とは
- 投資で収入を得ていることはハローワークにバレるのか
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
失業保険受給中は投資で収入を得ても大丈夫
失業保険受給中に投資で収入を得ても、失業保険は受給出来ます。また、投資で得る収入の額がどれだけであっても、失業保険金額に影響はありません。
結論、どれだけ投資で収入があっても失業保険はもらえますし、減額されることもありません。
参考 雇用保険業務取扱要領 51255(5)ロの(ハ)
投資で得る収入については、毎回の認定日での申告も不要です。一口に投資で得る収入と言っても、株や債券などのペーパーアセットから、金や不動産などの現物まで、たくさん種類があります。ここで、失業保険受給中に得ても問題ない投資で得る収入は「完全な不労収入」を指します。
失業保険受給中に投資で収入を得てもOKな具体的なケースは以下のとおり。
- 所有する株式・債券等からの配当・利払い
- 所有していた株式・債券等の売却益
- 不動産の定期的な家賃収入
- 所有していた現物資産の売却益
いずれも、労働せず収入を得ているところがポイントです。
投資で収入を得る場合の注意点
前出のとおり、投資から得る収入は失業保険の受給に影響を及ぼしません。ただし、以下のケースで投資で収入を得ていると、失業保険が受給できなくなる可能性があります。
また、以下のようなケースでは、失業保険の受給自体は可能でも投資で得る収入が労働収入であるとみなされ、失業保険金額が減額される可能性があります。
失業保険を受給するためには、失業状態である必要があります。※ 失業状態とは、「自営業や週20時間以上の仕事をしておらず、週20時間以上の仕事を探しており、自分にあった仕事が見つかれば働ける状態」を言います。
上記のケースでは、この失業状態を満たさなくなるため、失業保険が受給出来なくなってしまうのです。資産の種類ごとの具体的な受給出来ないケースは以下のとおり。
- 資産運用法人を設立
- 取引に専念して就職活動できない・しない
- 頻繁に取引を行っている(トレードを行っている)
- 不動産運用法人の設立
- 不動産投資に専念して就職活動できない・しない
- 借主との折衝や建物管理など、頻繁に作業が発生している
投資で得る収入が労働収入とみなされるような具体的なケースは以下のとおり。
- 頻繁に取引を行っている(トレードを行っている)
- 借主との折衝や建物管理など、頻繁に作業が発生している
資産運用法人の設立・取締役への就任
投資で収入を得るにあたって、資産運用会社を設立し、その取締役に就任する場合は失業保険の受給対象になれません。
参考 雇用保険業務取扱要領51255 ロの(イ)
法人の取締役への就任は、就職状態とみなされるためです。
法人役員への就任は就職状態に該当し、失業保険の受給条件である失業状態を満たさないため、受給対象ではなくなります。今回のように投資で収入を得るための法人設立・役員就任のケースでは当てはまりませんが、それ以外のケースで、以下の条件に当てはまっていれば例外的に法人役員でも失業保険を受給できる可能性があります。
参考 雇用保険業務取扱要領51255 イの(チ)
参考 雇用保険業務取扱要領51255 イの(ト)・ロの(イ)
資産運用に専念して仕事を探さない・探せない
資産運用に専念していて、週20時間以上の雇用契約の仕事を探さない・探せない場合も失業保険の受給対象になりません。
参考 雇用保険業務取扱要領51255
失業保険は、就職活動のための給付金だからです。
前出のとおり、失業保険の受給条件には「週20時間以上の雇用契約の仕事を探し、見つかればすぐ働ける状態であること」が必要なため、仕事を探さない・探せない場合は失業保険の受給対象外になります。
投資で収入を得るために取引・作業が発生している
投資で収入を得るために取引・作業が発生している場合は、労働収入とみなされる可能性があります。ここで、就労しているとみなされるようなケースは以下のとおり。
- 株式やFXなど、頻繁に取引を行っている(トレードを行っている)
- 借主との折衝や建物管理など、頻繁に作業が発生している(管理会社に任せるのではなく自身で管理している)
このあたりの判断は、ハローワークによって若干の違いがあります。
気になる方は管轄のハローワークで確認してください。
ここでの取引・作業が就労に該当する場合は、毎回の認定日ごとに就労の申告が必要になります。また、取引・作業の時間や金額によっては、失業保険金額が調整されます。
失業保険受給中に就労した場合の申告・調整については、以下の記事を参考にしてください↓
投資で収入を得ていることはハローワークにバレるのか
失業保険受給中の投資で得る収入について、受給できるケースの「完全な不労収入」についてはバレることはほとんどありません。
そもそもバレても問題がないので、調査の対象にもなりません。
受給出来ないケースについては、調査の対象になるのはもちろん、各行政機関への届け出など、バレる経路が無限に存在します。
投資で収入を得るにあたって何らかの作業が必要になる場合は、必ず事前にハローワークに申告・相談しましょう。
特に注意が必要なのが、不動産の相続です。不動産の相続を受ける手続きの際に、その不動産を運用している資産運用会社の取締役に就任することで、相続を受けるケースなどがあります。
この取締役に就任している状態で失業保険を受給すると、不正受給に該当する可能性が高いです。注意してください。
中には、知らずのうちに親族の会社の取締役に就任しているケースもあります。自身や親族の資産状況、経営状態などは出来る限り把握しておきましょう。
不正受給に該当するとどうなるか、該当した場合の対応については以下の記事を参考にして下さい↓
まとめ
以上、失業保険受給中に投資で収入を得ることは可能か、得た場合どうなるのかについて解説しました。
まとめると以下のとおり。
失業保険受給中に資産収入を得ても、失業保険は受給出来ます。失業保険を受給しながらでも得てもいい投資での収入のポイントは、「完全な不労収入」であることです。受給できるケースは以下のとおり。
- 所有する株式・債券等からの配当・利払い
- 所有していた株式・債券等の売却益
- 不動産の定期的な家賃収入
- 所有していた現物資産の売却益
投資での収入の内容によっては、失業保険が受給できないケースも存在し、それが以下のとおり。
- 資産運用法人を設立
- 頻繁に取引を行っている(トレードを行っている)
- 取引に専念して就職活動できない・しない
- 不動産運用法人の設立
- 借主との折衝や建物管理など、頻繁に作業が発生している
- 不動産投資に専念して就職活動できない・しない
失業保険に投資での収入が加わると、就職活動中でも心の余裕が出ます。ただし、過度なトレードは失業保険の対象外になってしまいますので要注意。
実りある転職になることを祈っております。最後までご覧いただきありがとうございました。
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