派遣社員としての就職の種類の1つとして、紹介予定派遣という形態があります。雇用保険の給付制度の1つである再就職手当は、紹介予定派遣での就職でも対象になるのでしょうか。
結論から言うと、紹介予定派遣でも再就職手当の対象になることは可能ですが、対象になるには派遣期間終了後、直接雇用に切り替わる必要があります。さらに、直接雇用に切り替わった契約内容が、正社員または契約更新可能性のある契約社員のいずれかである必要があります。
- 紹介予定派遣⇒直接雇用に切り替わり
- 直接雇用の契約内容が 正社員 or 契約更新可能性のある契約社員
この記事では、紹介予定派遣での就職が再就職手当の対象になるのか、その手続きについて、以下の3点から解説します。
- 紹介予定派遣とは・再就職手当の対象になるのか
- 紹介予定派遣就職の再就職手当の申請方法
- 紹介予定派遣就職で再就職手当の対象にならなかった場合
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
紹介予定派遣とは
紹介予定派遣とは、派遣先の会社に直接雇用されることを前提とした派遣契約です。派遣期間中に、会社・労働者の双方が直接雇用を結ぶか検討し、双方合意すればそのまま直接雇用を結びます。
派遣期間がそのまま試用期間になるような契約です。
雇用主が、派遣元会社⇒派遣先会社に途中で切り替わります。
参考 厚生労働省 紹介予定派遣とは https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133872.pdf
通常の派遣契約との違いは以下の4点。
- 事前に直接雇用前提の明示が行われる
- 派遣契約前の書類選考や面接がある
- 派遣期間が短い(通常は最長3年 紹介予定派遣は6ヶ月以下)
- 派遣期間途中の直接雇用への切り替えが可能
紹介予定派遣の契約内容を物で例えると、「事前に買い取りを約束した、買い取り可能なレンタカー」です。
紹介予定派遣でも再就職手当の対象になる
結論から言うと、紹介予定派遣でも再就職手当の対象になることは可能です。ただし、対象になるのは、派遣期間終了後、直接雇用に切り替わった場合のみです。
直接雇用に切り替わらなかった場合は、再就職手当の対象になりません。
その場合の失業保険手続きについて詳細は後述しますが、再度失業保険の受給手続きを行うことになります。
再就職手当の対象になるためには、「1年を超えて勤務すること」が見込まれる必要があります。紹介予定派遣では、当初の派遣契約期間は6ヶ月以下で固定されており、「1年を超えて勤務すること」が見込まれません。
直接雇用に切り替わった後であれば、直接雇用の契約内容が「1年を超えて勤務すること」が見込まれる場合、再就職手当の対象になります。直接雇用の契約内容が「1年を超えて勤務すること」が見込まれる場合とは、以下の2つの契約のいずれかの場合です。
- 正社員
- 契約更新見込みのある契約社員
まとめると、紹介予定派遣で再就職手当の対象になるには以下の2つの条件に当てはまる必要があります。
- 紹介予定派遣⇒直接雇用に切り替わり
- 直接雇用の契約内容が 正社員 or 契約更新可能性のある契約社員
通常の派遣社員での就職が再就職手当の対象になるのか、手続き方法については、以下の記事を参考にしてください↓
紹介予定派遣で再就職手当をもらう手続きの流れ
再就職手当をもらうためにはハローワークへ申請手続きが必要で、紹介予定派遣で就職した場合は、一般的な就職での再就職手当の申請手続きとは違った流れになります。
- 派遣契約開始日の前日に就職の申告
- 派遣就業終了後、再離職&就職の申告
- 再就職手当の申請
一般的な再就職手当の申請方法・手続きの流れについては、以下の記事を参考にしてください↓
派遣契約開始日の前日に就職の申告
派遣契約開始日の前日に、ハローワーク窓口で就職の申告を行います。必要書類は以下の3つ。
必要書類を窓口に提出し、失業保険の給付をストップします。派遣契約開始日の前日時点では、「1年を超えて勤務すること」が見込まれないため、この時点では再就職手当の申請は出来ません。
ハローワーク窓口で紹介予定派遣就職であることを申告し、今後の手続きの流れについて確認しておいてください。
就職申告の手続きの詳細については、以下の記事を参考にしてください↓
派遣契約終了後に再離職&就職の申告
派遣契約終了後に、ハローワーク窓口で再離職&就職の申告を行います。必要書類は以下の3つ。
必要書類を窓口で提出し、派遣契約の終了(再離職)と、就職の申告(直接雇用の開始)の手続きを行います。派遣契約終了後、手続きは早めに行う必要がありますが、派遣契約終了当日は手続きが出来ないこともあります。
手続き可能な時期については、事前に管轄ハローワークで確認しておきましょう。
なお、早めに済ませたくても、派遣契約終了前は手続きが出来ません。手続きは必ず派遣契約終了後になりますので、注意してください。
再就職手当の申請
ハローワーク窓口に再就職手当の申請書類を提出し、再就職手当の申請を行います。必要書類は以下の4つ。
参考 雇用保険業務取扱要領57151(1)のイ
必要書類を窓口に提出し、再就職手当の申請を行います。提出方法は、窓口へ持参・郵送のどちらでも可能です。必要書類のうち、以下の3つについては就職申告の際にハローワーク窓口でもらえます。
- 再就職手当支給申請書
- 1年を超えて働くことの証明書類
- 前職の関連会社ではないことの証明書類
必要書類は再就職先の会社の証明が必要になりますが、ここで証明してもらう会社は、直接雇用先の会社です。
例
紹介予定派遣で就職
- 派遣元会社A社(派遣契約)
- 派遣先会社B社(派遣契約後、直接雇用)
派遣契約終了後にB社で直接雇用になり、再就職手当を申請する場合は、証明を書いてもらうのはB社です。
紹介予定派遣から直接雇用にならなかった場合
紹介予定派遣から直接雇用に切り替わらなかった場合は、再度失業保険の受給が可能です。派遣契約終了日の翌日以降にハローワークの窓口に行き、必要書類を提出することで失業保険の受給が再開します。
ただし、失業保険の受給再開には、失業状態である必要があります。
失業状態とは、「自営業や週20時間以上の仕事をしておらず、週20時間以上の仕事を探しており、自分にあった仕事が見つかれば働ける状態」のことを言います。
よって、以下の状態のときは失業保険の受給再開が出来ません。
派遣契約終了後、すぐに働ける状態で仕事を探すことが、再度失業保険の対象になる条件です。
失業保険の受給再開手続き
派遣契約終了後、ハローワーク窓口に必要書類を提出し、再離職の申告を行うことで失業保険の受給再開が可能です。失業保険の受給再開にあたって、必要書類は以下の2つ。
手続きの流れは以下のとおりです。
- 派遣契約終了日の翌日以降にハローワーク窓口に行く
- 必要書類を提出し再離職の手続きを行う
- 失業認定に必要な書類をもらい、次回の認定日を教えてもらう
- 職業相談窓口で再求職の手続きを行う
派遣契約終了日の翌日以降にハローワーク窓口に行く
派遣契約終了日の翌日以降に、ハローワーク窓口で手続きを行います。派遣契約終了日の当日は手続きが出来ません。派遣契約終了日の翌日以降、早めに手続きに行ってください。
手続きに行った日が失業保険受給再開の起算日になります。
なるべく早めに手続きを行いましょう。
必要書類を提出し再離職の手続きを行う
ハローワーク窓口に以下の必要書類を提出し、手続きを行います。
「離職状況証明書」は、派遣元会社の証明が必要になります。証明には時間がかかりますので、早めに依頼しておきましょう。派遣契約終了日までに「離職状況証明書」の証明が間に合わなかった場合は、後日の提出でもOKです。とりあえず雇用保険受給資格者証だけを持って、ハローワーク窓口に行きましょう。
早めの手続きが大切です。
離職状況証明書が間に合わないときは、先に雇用保険受給資格者証だけを持って、派遣契約終了日の翌日以降にハローワーク窓口に行きましょう。
失業認定に必要な書類を受け取り、次回の認定日を教えてもらう
必要書類の提出が終われば、次回の認定日に必要な書類を窓口で受け取り、次回の認定日の日程を教えてもらいます。次回の認定日に必要な書類は以下のとおり。
離職状況証明書の提出が無いと、失業保険の支払いが受けられません。(認定自体は可能)
次回の認定日までには用意できるよう、派遣元会社に依頼しておきましょう。
職業相談窓口で再求職の手続きを行う
雇用保険窓口での手続きが終われば、職業相談窓口で再求職の手続きを行います。手続きに必要な書類は以下のとおり。(この書類は無くても手続き可能です)
職業相談窓口で、ハローワークに登録している求職登録内容の確認・前職の仕事内容の聴取が行われます。準備が必要なことはありませんので、気軽に受け答えしてください。職業相談窓口の手続きが終われば、失業保険受給再開手続きは終了です。
なお、雇用保険窓口⇒職業相談窓口の順で説明しましたが、窓口の順番が逆の場合もあります。
管轄のハローワークの指示に従ってください。
受給期限によっては失業保険受給再開が出来ない
受給期限によっては、失業保険の受給再開が出来ないことがあります。失業保険の受給には有効期限があり、有効期限を過ぎてしまった分は受給不可能になります。この失業保険の有効期限を「受給期限」と呼び、受給期限は退職日の翌日から1年間です。
ここでの退職日は、「失業保険を申請するに至った退職日」です。
つまり、紹介予定派遣で就職する前の退職日です。
自身の受給期限については、雇用保険受給資格者証の第一面18欄で確認することが出来ます。「受給期間満了日」という名称で、和暦で「年月日」が記載されています。
例 受給期間満了日が「061231」のとき ⇒ 受給期間満了日は「令和6年12月31日」になる
派遣契約終了後、自身がどれだけ失業保険を受給できるのかについては、管轄のハローワークで確認しましょう。
まとめ(締め)
以上、紹介予定派遣での就職が再就職手当の対象になるのか、その手続きについて、以下の3点から解説しました。
- 紹介予定派遣とは・再就職手当の対象になるのか
- 紹介予定派遣就職の再就職手当の申請方法
- 紹介予定派遣就職で再就職手当の対象にならなかった場合
まとめると以下のとおり。
紹介予定派遣とは、派遣先の会社に直接雇用されることを前提とした派遣契約で、派遣期間終了後、直接雇用に切り替わった場合は、紹介予定派遣でも再就職手当の対象になることは可能です。
ただし、直接雇用の契約内容が「1年を超えて勤務すること」が見込まれることが必要で、「1年を超えて勤務すること」が見込まれる契約内容とは、正社員または契約更新可能性のある契約社員です。
- 紹介予定派遣⇒直接雇用に切り替わり
- 直接雇用の契約内容が 正社員 or 契約更新可能性のある契約社員
紹介予定派遣就職での再就職手当をもらう手続きの流れは以下のとおりです。
- 派遣契約開始日の前日に就職の申告
- 派遣就業終了後、再離職&就職の申告
- 再就職手当の申請
紹介予定派遣から直接雇用にならなかった場合、失業保険の受給再開が可能です。失業保険受給再開の手続きの流れについては以下のとおりです。
- 派遣契約終了日の翌日以降にハローワーク窓口に行く
- 必要書類を提出し再離職の手続きを行う
- 失業認定に必要な書類をもらい、次回の認定日を教えてもらう
- 職業相談窓口で再求職の手続きを行う
紹介予定派遣は、会社・労働者の双方が今後働き続けられるかを派遣期間中に確認出来る制度です。派遣会社が間に入るため、直接雇用に移る場合の労働条件の交渉なども手伝ってもらえます。上手に活用し、理想の働き方に近づいていきましょう。
実りある転職になるよう祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。
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