この記事の想定読者
- 派遣社員として就職して再就職手当をもらいたい方
- 派遣社員就職で再就職手当の対象になるにはどうすればいいか知りたい方
失業保険申請後、早期に就職が決まると「再就職手当」という給付金の対象になります。再就職手当の給付には「安定した職業」への就職が条件となっていますが、雇用期間が決まっている派遣社員としての就職でも対象になります。
ただし、以下の派遣社員としての就職では、再就職手当の対象にならないため注意が必要です。
派遣社員としての就職で再就職手当の対象になるためには、以下の3つのポイントを意識してください。
この記事では、派遣社員でも再就職手当の対象になるのかについて、以下の3点から解説します。
- 再就職手当とは
- 再就職手当の対象になる・ならない派遣就職
- 派遣就職で再就職手当の対象になるための注意点
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
再就職手当とは
再就職手当とは、失業保険の受給者が、早期に就職が決まった場合に支給される「就職促進給付」と呼ばれる手当です。失業保険をもらい始めると、「早期就職」に対しての気持ちが盛り下がることがあります。これを防ぐために、給付金を支給することで早期就職を促しています。
早く就職するともらえるお金がある。と覚えてもらえればOKです。
再就職手当の申請方法・もらえる金額についての詳細は、以下の記事を参考にしてください↓
再就職手当の受給条件
再就職手当の受給条件は以下の8つ。対象になるには全てを満たす必要があります。
- 待期期間満了後の就職・事業開始である
- 基本手当の支給残日数が3分の1以上残っている
- 離職前の会社・関連企業への就職では無い
- (給付制限がある場合)待期期間満了後から1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職である
- 1年を超えて勤務することが確実である
- 再就職先で雇用保険に加入する
- 過去3年以内に再就職手当をもらっていない
- 失業保険の申請前から内定がある会社への就職で無いこと
参考 厚生労働省 再就職手当のご案内 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/saishuushokuteate.pdf 雇用保険業務取扱要領 57052(2)
ざっくり条件をまとめると、「失業保険を申請して一定期間経過後、安定した長期雇用が見込まれる職場に早期就職をすること」です。
再就職手当の具体的な受給条件については、以下の記事を参考にしてください↓
再就職手当の受給金額
再就職手当の金額は、以下の計算式で計算されます。
支給率は、支給残日数によって60%か70%のどちらかになります。
残っている失業保険の6~7割が一括で支払われます。
具体的な金額にすると、10万~40万円になる方が多いです。
再就職手当の申請手続方法
再就職手当をもらうためには、申請手続きが必要になります。
再就職手当申請の手続きの流れは以下のとおり。
- 就職日の前日にハローワークで就職申告を行う
- 再就職手当支給申請に必要な書類をもらう
- 申請書類の準備
- 申請書類の提出
- ハローワークで支払い処理後、支給決定通知・雇用保険受給資格者証が届く
就職が決まれば、まずはハローワークの窓口へ就職の申告に行きましょう。
派遣社員でも再就職手当の対象になる
正社員としての就職だけでなく、派遣社員としての再就職でも、前述した8つの条件に該当する場合は再就職手当の対象になります。再就職手当の対象になるかの最終的な判断は、自身と派遣会社で結ぶ雇用契約の内容によって決まります。
再就職手当の対象になるための8つの条件のうち、派遣社員として再就職する場合は、特に以下の3つの条件について注意してください。
- 1年を超えて勤務することが確実である
- 離職前の会社・関連企業への就職ではない
- (給付制限がある場合)待期期間満了後から1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職である
自身の就職が再就職手当の対象になるのか、判断が難しい方は管轄のハローワークで確認しましょう。
派遣就職の中には、紹介予定派遣という形態があります。派遣先の会社との直接雇用を前提とした派遣契約です。紹介予定派遣での就職も再就職手当の対象になります。
紹介予定派遣が再就職手当の対象になるのか、その手続き方法や対象にならなかった場合については、以下の記事を参考にしてください↓
再就職手当の対象にならない派遣社員としての就職
派遣社員としての再就職は、雇用契約の内容によっては再就職手当の対象にならないこともあります。
再就職手当の対象にならない派遣就職の例として、以下の3つを挙げます。
短期契約期間の登録型派遣での就職
短期契約期間の登録型派遣での就職は、再就職手当の対象になりません。再就職手当の対象になるための8つの条件の「1年を超えて勤務することが確実である」に当てはまらないからです。
短期契約期間の登録型派遣とは、「1年未満の契約期間を定めた登録型派遣」です。ただし、雇用契約が短期間でも、契約の更新可能性があり、契約更新を繰り返すことで1年を超えて勤務することが見込まれる場合は再就職手当の対象になります。
契約更新の可能性については、まずは派遣元の会社に契約内容・更新の条件等を確認し、確認した内容を持って管轄のハローワークで聞いてみましょう。
登録型派遣とは、事前に派遣元会社に登録だけ行い、派遣先が見つかれば派遣元会社と雇用契約を結ぶ働き方です。登録型派遣かどうかは「働いていない期間に給料が支払われるか」で判断できます。
- 働いていない期間に給料が支払われない ⇒ 登録型派遣
- 働いていない期間も給料が支払われる ⇒ 常用型派遣
前職と同じ派遣元会社での派遣就職
前職と同じ派遣元会社での派遣就職は、再就職手当の対象になりません。再就職手当の対象になるための8つの条件の「離職前の会社・関連企業への就職ではない」に当てはまらないからです。派遣社員として就職すると、派遣元の会社と雇用契約を結ぶことになります。派遣先の会社が違っていたとしても、派遣元の会社が同じであれば「離職前の会社への就職」に該当し、再就職手当の対象になりません。
逆に、派遣先の会社が同じでも、派遣元の会社が違っていれば再就職手当の対象になります。
待期期間満了後から1ヶ月間の派遣就職(給付制限がある場合)
給付制限の対象になるとき、待期期間満了後から1ヶ月間の派遣就職は、再就職手当の対象になりません。再就職手当の対象になるための8つの条件の「(給付制限がある場合)待期期間満了後から1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職である」に当てはまらないからです。派遣会社を利用しての派遣社員就職は、紹介就職に該当しません。
紹介就職とは、以下のいずれかの方法で就職した場合のことです。
- ハローワークで紹介状を発行して就職
- 職業紹介会社の転職エージェントから仕事を紹介してもらって就職
「派遣就職≠紹介就職」です。制度が難しいので間違えやすいですが、給付制限がある方(自己都合退職の方)は注意してください。
給付制限の対象ではない方(会社都合・期間満了退職の方)は、この条件は気にしなくて大丈夫です。
派遣と職業紹介の違いについては以下のURLが分かりやすいです。参考にしてください。
参考 スタッフサービスグループ 「職業紹介と派遣は、何が違うのでしょうか?」https://www.staffservice.co.jp/staff/qanda/answer_0026.html#:~:text=%E6%B4%BE%E9%81%A3%E3%81%AF%E5%AE%9F%E9%9A%9B%E5%83%8D%E3%81%8F%E4%BC%81%E6%A5%AD,%E5%83%8D%E3%81%8F%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
【事前に確認】派遣社員で再就職手当の対象になるための3つのポイント
前出のとおり、派遣社員としての就職で再就職手当の対象になるためには、特に以下の3つの条件を意識してください。
- 1年を超えて勤務することが確実である
- 離職前の会社・関連企業への就職ではない
- (給付制限がある場合)待期期間満了後から1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職である
上記を踏まえて、派遣社員で再就職手当の対象になるための、3つのポイントは以下のとおり。
契約の更新可能性のある派遣就職をする
派遣就職する際には、必ず事前に契約の更新可能性を派遣元会社に確認し、契約の更新可能性のある派遣就職をしてください。「1年を超えて勤務すること」が見込まれないと、再就職手当の対象にならないからです。
当初の契約期間が1年未満の短期間でも、更新して1年を超える見込みがあれば再就職手当の対象になります。契約更新可能性は、更新に当たってどんな条件があるのかで判断されます。
契約更新可能性と再就職手当の関係は以下のとおり。
- 原則更新 ⇒ 〇対象になる
- 条件付きで更新 ⇒ ×対象ではない
- 更新無し ⇒ ×対象ではない
「原則更新」は再就職手当の対象になります。契約更新に特段の条件が無く、通常どおり働いていれば契約が更新され、「1年を超えて勤務する見込み」があると判断できるからです。
「条件付きで更新」は再就職手当の対象になりません。契約更新に条件(ノルマの達成・筆記試験の通過など)があり、「1年を超えて勤務する見込み」が無いと判断されるからです。
「更新無し」は再就職手当の対象になりません。契約が更新されなければ「1年を超えて勤務する見込み」が無いからです。
「条件付きで更新」「更新無し」と言われた場合は、別の派遣元会社を探すか、別の派遣先を紹介してもらいましょう。
自身の契約更新可能性が分からない場合は、派遣元会社に確認した回答をまとめ、管轄ハローワークで確認してみましょう
前職と違う派遣会社を使う
前職が派遣社員で次も派遣社員として就職する場合は、前職と違う派遣会社を使ってください。同じ派遣会社を使っての就職は、「離職前の会社への就職」とみなされるからです。
前出のとおり、派遣社員として就職すると、派遣元の会社と雇用関係を結ぶことになります。派遣先が違ったとしても、派遣元の会社が同じ場合は「離職前の会社への就職」とみなされ、再就職手当の対象になりません。
雇用契約をどこの会社と結ぶのか、がポイントです。
前職も派遣社員であれば、必ず前職と違う派遣会社を使いましょう。
以下で、派遣社員として働く場合に「離職前の会社」とみなされるパターン・みなされないパターンをまとめておきます。
例1
前職 派遣社員 派遣元会社A社からの派遣で、派遣先会社B社で働いていた
- 派遣元会社A社を使って、派遣先C社へ就職 ⇒ 再就職手当の対象にならない
- 派遣元会社D社を使って、派遣先B社へ就職 ⇒ 再就職手当の対象になる
例2
前職 正社員 E社で正社員として働いていた
派遣元会社A社を使って、派遣先E社(前職会社)へ就職 ⇒ 再就職手当の対象になる
待期期間満了後1ヶ月間は派遣就職しない(給付制限がある場合)
給付制限がある場合、待期期間満了後1ヶ月間(=給付制限の初めの1ヶ月間)は派遣就職しないようにしてください。「待期期間満了後から1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職である」の条件に該当しなくなるからです。
前出のとおり、派遣社員としての就職は「紹介就職」には該当しません。前職を自己都合退職(または懲戒解雇退職)し、給付制限がある方は、待期期間満了後1ヶ月間は派遣就職しないようにしましょう。
待期期間満了後1ヶ月間とは、「失業保険の申請から7日間+1ヶ月間」です。
具体的な日程は管轄のハローワークで確認しましょう。
例
- 失業保険申請日 令和6年5月1日
- 待期期間満了日 令和6年5月7日
- 給付制限期間 令和6年5月8日~7月7日
- 待期期間満了後1ヶ月間 令和6年5月8日~令和6年6月7日
この例のとき、令和6年6月8日以降であれば、派遣就職しても再就職手当の対象になります。
まとめ(締め)
以上、派遣社員でも再就職手当の対象になるのかについて、以下の3点から解説しました。
- 再就職手当とは
- 再就職手当の対象になる・ならない派遣就職
- 派遣就職で再就職手当の対象になるための注意点
まとめると以下のとおり
再就職手当とは、失業保険の受給者が、早期に就職が決まった場合に支給される「就職促進給付」と呼ばれる手当です。受給の対象になるには、8つの条件をすべてを満たす必要があります。受給金額は支給残日数の60%か70%。具体的な金額だと10万~40万円程度です。
正社員としての就職だけでなく、派遣社員としての就職でも8つの条件を満たすと再就職手当の対象になります。ただし、以下の派遣就職では再就職手当の対象になりません。
上記を踏まえて、派遣就職で再就職手当の対象になるには、以下の3つのポイントがあります。
再就職手当は、早期の就職を促す制度で、派遣社員としての就職でも対象になります。派遣社員としての就職は、自由な働き方が出来るメリットがあります。再就職手当の制度を上手に活用し、希望の働き方を叶えていきましょう。
実りある転職になるよう祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。
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