「遠方へ転居のため会社を退職」「転職をきっかけに転居」など、引っ越しと入退社は関連することが多いです。失業保険の申請を考えているor受給中の方は、引っ越しをするとどんな手続きが必要で、申請すると有利になる手続きはあるのでしょうか。引っ越しのタイミングを失業保険申請時期ごとに整理し、必須手続き・有利な手続きをまとめると以下になります。
この記事では、失業保険と引っ越しの関係について、引っ越しのタイミングごとに手続きをまとめ、以下の3点から解説します。
- 失業保険と引っ越しの関係
- 引っ越しのタイミングごとの必須手続き・有利な手続き
- それぞれの手続きの必要書類・手続き方法
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の参考にしている「雇用保険業務取扱要領」については、以下のURLから確認できます↓
失業保険と引っ越しの関係について
失業保険と引っ越しの関係は、引っ越しのタイミングごとに以下の2点で整理出来ます。
- 必須手続きがあるか
- 申請すると有利な手続きがあるか
必須手続きとしては、失業保険受給中に引っ越す場合には「移管手続き」があります。申請すると有利な手続きとしては、引っ越しを伴う就職をした場合の「移転費」が該当します。引っ越しのタイミングと各手続きについてまとめると、以下のとおりです。
以下で解説していきますが、全部見る必要はありません。
自身のタイミングに合致する箇所を見ていただければ充分です。
失業保険申請前の引っ越し
失業保険申請前の引っ越しについて、必須・有利な手続きは以下のとおり。
必須手続き【住所変更の手続き】
失業保険申請前に引っ越しをすると、失業保険申請時に住所変更の手続きが必要になります。住所変更手続きに必要な書類は以下のとおり。
- 離職票1,2
- 変更後の住所が分かるもの
参考 雇用保険業務取扱要領50003(3)
住所変更の手続きは、失業保険申請時にまとめて行います。変更前後の住所が確認出来る書類を持って、窓口に行きましょう。変更前後の住所が確認出来る書類としては、以下が挙げられます。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 住民票の写し
- 公共料金の領収書
ハローワークによっては、上記以外の書類でも確認書類として認められることがあります。
上記の書類を準備できない場合は、管轄ハローワークに確認してみましょう。
有利な手続き【離職理由変更の申請】
失業保険申請前に引っ越しをすると、離職理由変更の申請が可能な場合があります。以下のいずれかの理由で引っ越して離職した場合は「特定理由離職者」に該当し、離職理由の変更が可能です。
- 結婚に伴う同居
- 配偶者の転勤に同行
- 別居の解消
- DV被害から逃れるため
参考 雇用保険業務取扱要領50305-2
いずれの場合も、引っ越したことで新住居から元の職場へ通勤が片道2時間以上かかるなど、「通勤が困難になったこと」が必要です。
特定理由離職者に該当すると、以下の2つのメリットがあります。
上記の理由で引っ越し、元の離職理由が自己都合の方は、離職理由変更の手続きを行いましょう。
元の離職理由が会社都合の方は、変更するメリットがありません。
離職理由変更手続きは、ハローワークの窓口で行います。申請のタイミングは特に決まっていませんが、なるべく早めに行いましょう。ベストな申請タイミングは失業保険申請時です。必要書類は転居の理由によって変わりますが、基本は以下の2つ。
- 転居前後の住所が分かるもの(住民票の写しなど)
- 転居理由の証明が出来るもの(婚姻証明や転勤辞令など)
結婚に伴う同居であれば婚姻証明、配偶者の転勤に同行するためであれば転勤辞令などが必要書類になります。
必要書類は管轄のハローワークで確認しましょう。
結婚の前段階の同棲開始に伴う引っ越し退職でも、特定理由離職者に該当する場合があります。詳細は以下の記事を参考にしてください↓
失業保険受給中の引っ越し
失業保険受給中の引っ越しについて、必須・有利な手続きは以下のとおり。
必須手続き【移管手続き】
失業保険受給中に引っ越しをすると、移管手続きが必要になります。移管手続きに必要な書類は以下のとおり。
- 雇用保険受給資格者証
- 変更後の住所が分かるもの
参考 雇用保険業務取扱要領51502(2)
移管手続きは、引っ越し後の管轄ハローワークで行います。手続きに行くタイミングは、次回の認定日までであればいつでも大丈夫です。変更前後の住所が確認出来る書類を持って、窓口に行きましょう。変更前後の住所が確認出来る書類の例としては、以下が挙げられます。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 住民票の写し
- 公共料金の領収書
ハローワークによっては、上記以外の書類でも確認書類として認められることがあります。
上記の書類を準備できない場合は、転居後の管轄ハローワークに確認してみましょう。
失業保険受給中の引っ越しについて、手続き・必要書類について、より詳しい説明は以下の記事を参考にしてください↓
なお、失業保険受給中の引っ越しは、以下の点に注意が必要です。
- 失業認定日は変わらない
- 求職活動実績は変わらず必要
失業認定日は変わらない
失業保険受給中に引っ越しても、失業認定日の日程は変わりません。設定されている失業認定日に、必要書類を持ってハローワークに行きましょう。このとき手続きに行くハローワークは、引っ越し後のハローワークです。
移管手続き前であれば、引っ越し前のハローワークで失業認定を受けることも可能です。
どちらか都合のいい方で手続きしましょう。
ただし、移管手続き後は引っ越し後のハローワークでしか失業認定手続きが出来ません。
なお、失業認定日に、失業認定手続きと移管手続きをまとめて行うことも可能です。また、失業認定時間はハローワークによって違いますが、開庁時間中(8:30~17:15)であればいつでも大丈夫です。
求職活動実績は変わらず必要
失業保険受給中に引っ越しても、求職活動実績は変わらず必要です。前回認定日~次回認定日前日までに2回以上の求職活動を行いましょう。
引っ越し作業が忙しくて求職活動できなかった場合は、失業不認定になります。
求職活動は必ず行いましょう。
有利な手続き【無し】
失業保険受給中の引っ越しで、申請すると有利になる手続きはありません。これまで通りに失業保険を受給しましょう。
失業保険受給終了後・就職後の引っ越し
失業保険受給終了後・就職後の引っ越しについて、必須・有利な手続きは以下のとおり。
必須手続き【無し】
失業保険受給終了後・就職後の引っ越しで、必須手続きはありません。ただし、後に説明する「移転費」の申請に当たっては、前出の移管の手続きが必要な場合があります。
有利な手続き【移転費の申請】
失業保険受給中に就職が決まり、就職先が遠方などの理由で引っ越しをすると、移転費の申請が可能な場合があります。移転費の対象になるには、以下の条件すべてにあてはまる必要があります。
- 失業保険受給中にハローワーク・特定地方公共団体・職業紹介事業者のいずれかから紹介を受けた就職
- 待期期間満了後の就職
- 公共職業安定所長が転居の必要があると認める
- 就職先の会社から転居に関する費用が出ない
- 雇用期間が1年以上である
参考 雇用保険業務取扱要領57557(1) 雇用保険法施行規則第86条
移転費の対象になると、移転時に負担する交通費と引っ越し費用が受給出来ます。「単身or親族と一緒に転居する」「移転先の距離」で金額は変わりますが、移転費として受給できる金額の概算は、東京~大阪間の転居で単身だと約15万円、親族と合わせて2人以上だと約30万円ほどです。
対象になる場合は申請しないともったいないです。
ハローワーク・職業紹介事業所の紹介で遠方への就職が決まった場合は、ぜひ申請してください。
移転費の申請は、引っ越し後の管轄ハローワークで行います。就職・引っ越しが済んでから1ヶ月以内に申請しましょう。必要書類は以下のとおり。
- 移転費支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 【親族と一緒に転居する場合】生計を一つにしている証明(世帯の住民票(写)など)
- 【飛行機を使う場合】飛行機の領収書
- 【ハローワーク以外の紹介就職の場合】紹介状 or 職業紹介証明書(移転費)
移転費の申請の流れは以下のとおりです。
移転費の対象者や申請方法・金額の計算方法の詳細については、以下の記事を参考にしてください↓
まとめ(締め)
以上、失業保険と引っ越しの関係について、引っ越しのタイミングごとに手続きをまとめ、以下の3点から解説しました。
- 失業保険と引っ越しの関係
- 引っ越しのタイミングごとの必須手続き・有利な手続き
- それぞれの手続きの必要書類・手続き方法
まとめると以下のとおり。
いずれの手続きも、引っ越し後の管轄ハローワークで失業保険申請時に行います。必要書類は以下のとおり。
- 離職票1,2
- 変更前後の住所が分かるもの
- 転居前後の住所が分かるもの(住民票の写しなど)
- 転居理由の証明が出来るもの(婚姻証明や転勤辞令など)
「変更前後の住所がわかるもの」は、以下のいずれかで準備しましょう。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 住民票の写し
- 公共料金の領収書
移管の手続きは、次回認定日までに引っ越し後の管轄ハローワークで行います。必要書類は以下のとおり。
- 雇用保険受給資格者証
- 変更後の住所が分かるもの
「変更後の住所がわかるもの」は、以下のいずれかで準備しましょう。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 住民票の写し
- 公共料金の領収書
移転費の申請は、就職・引っ越しが済んでから引っ越し後の管轄ハローワークで行います。必要書類・手続きの流れは以下のとおり。
- 移転費支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 【親族と一緒に転居する場合】生計を一つにしている証明(世帯の住民票(写)など)
- 【飛行機を使う場合】飛行機の領収書
- 【ハローワーク以外の紹介就職の場合】紹介状 or 職業紹介証明書(移転費)
移転費は、申請~受給まで1ヶ月ほど時間がかかります。
なるべく早めに準備しましょう。
入退社と引っ越しは関係が密なので、失業保険には引っ越しを想定した制度が用意されています。自身の状況と手続きの内容を整理して、手続き忘れがないように注意しましょう。
実りある転職になるよう祈っております。最後までお読みいただきありがとうございました。
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